始まった地方交通革命 ~持続可能な地方版MaaSを成立させる要因とは

始まった地方交通革命 ~持続可能な地方版MaaSを成立させる要因とは

国や企業などによる取組みが加速し始めたことにより、MaaSの概念が浸透する一方で、誤解や行き過ぎた思い込みも生まれています。本稿では、地方版MaaSを取り上げ、地方の交通課題を解決するためにはどのようなモビリティサービスが提供されるべきか、そのためにそれぞれの組織で何が提供できるのかについて解説します。

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地方版MaaSとは何か?

フィンランドで誕生したMaaS
2010年代半ば、スマートフォンが広く普及したことがきっかけで、さまざまなモビリティサービスやアプリが提供されるようになり、交通分野に大きなイノベーションがもたらされました。一方で、アプリを複数使い分ける不便さが生じ、統合型のモビリティサービスを提供できないかと誕生したのがMaaS(Mobility as a Service)という概念です。

地方版MaaSとは
地方や郊外において移動の不便が増大することはさらなる人口減少を招き、コミュニティが維持できない問題につながりかねません。そこで、最新のテクノロジーやサービスを導入することでコストを抑えつつ、必要最低限の移動手段を確保しようとするのが地方版MaaS(Rural MaaS)です。

地方版MaaSにはどのような種類があるのか
以下6つの類型に当てはまらないサービスも今後は提供され得る可能性がありますが、本稿では代表的な事例を紹介しながら6つの類型それぞれの特長を解説します。

  1. オンデマンド乗合バス
  2. 相乗りタクシー
  3. 定額タクシー
  4. 自家用車相乗りサービス(自家用有償旅客運送)
  5. 自動運転シャトル・自動運転タクシー
  6. グリーンスローモビリティ(低速電気自動車シャトル)

地方版MaaSの先行事例から学ぶ

MaaSで先行するフィンランドにおいて地方版MaaSを提供するKyyti、オンデマンド乗合バスのチョイソコを先行事例として取り上げながら、どのように地方版MaaSへの参入に成功したのかを解説します。

MaaS大国フィンランドから学ぶ地方版MaaSの実現方法
Kyytiの地方版MaaSとその実現を可能にしている社会システムは成功事例として参考になることから、そのポイントを紹介します。

地方版MaaSに新規参入した企業の成功要因
2018年7月にアイシン精機とスギ薬局が、愛知県豊明市で開始したオンデマンド型交通サービス「チョイソコ」の成功要因を解説します。

地方版MaaSの実現にかける政策当局の狙い

地方版MaaSの実現にかける政策当局の狙いについて、国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課 課長の重田裕彦氏にインタビューしました。

  • 2019年7月に新設されたモビリティサービス推進課が設立された背景
  • 日本発のMaaSにとって欧米とは異なる背景や事情
  • 改正地域公共交通活性化再生法を制定した背景
  • 地方版MaaSが全国展開していくために必要なこと
  • 地方版MaaSの普及に向けて地域と連携した国土交通省の新体制
  • 公共交通事業者が他の事業者と連携して取り組める仕組みを構築
  • 先行するフィンランドからの学び

地方版MaaSが成立するための要件は?

現在提供されている地方版MaaSは、解決策として決定打に欠けているか、実証実験の域を出ないものが多く、持続可能なサービスとしての定着が難しいと考えられています。持続可能なサービスとして提供され続けるには、どのような要件を満たす必要があるのか、仮説を提示します。

  1.  ユーザー視点で使いやすいサービスとなっているか?
    地方版MaaSがユーザー視点で使いやすいサービスとなるためには、サービスの導入を前提としたうえで、制度やサプライサイドの都合に過剰に振り回されない工夫が求められます。
  2.  持続可能なサービスを提供する主体が存在するか?
    地域住民にとって不可欠なサービスが持続可能に提供され続けるためには、そのサービスを提供し続ける意思のある主体が必要となります。主体になり得る候補としてカギを握るのは、「どの事業者が地域全体の移動課題やユーザーニーズを把握したうえで最適なサービスを提供しようとしているか」「当該事業者が持続的にサービスを提供し続ける意思を有しているか」「そのサービスを提供するにあたって採算性のあるビジネスモデルを構築できているか」の3点です。自治体が接着剤の役割を果たすことで、地域に対する一定のコミットメントを民間企業から引き出すことは、地方版MaaSの成功のために欠かせないでしょう。
  3.  地方自治体や政府からの強力な支援が得られているか?
    必要最低限の交通手段を維持する前提で一定の財政的支援を担保し、ユーザーニーズに応えたサービスが提供されるよう、国と地方自治体の両方が制度面・運用面でのサポートを行うことが不可欠と言えるでしょう。
  4. 他地域や他国に横展開できるモデルとなっているか?
    地方版MaaSを提供する事業者が効率性や採算性を向上していくためには、ある地域で成功したモデルを他地域や他国に横展開できるようにすることが不可欠です。そのためには、地域に根差した事業者が全国展開(あるいは海外展開)できる事業者と連携してサービス開発を行う、新しい関係性を作っていくことが必要になるでしょう。

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