収益構造から見るeスポーツの展望とは

収益構造から見るeスポーツの展望とは

「裾野広がるeスポーツ」シリーズ第10回。スポンサー・広告収入、放映権収入、チケット・グッズ収入、大会賞金の4つで構成されるeスポーツの収益構造から、今後の課題や展望について考察する。

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eスポーツ産業の核となるチームビジネスに焦点を当て、その収益構造や課題、将来展望について考察する。チームの収益は大きく分けて、(1)スポンサー・広告収入(2)放映権収入(3)ファンからのチケット・グッズ収入(4)大会賞金、の4つで構成される。それぞれの割合は各チームの経営方針、関わるゲームタイトルに大きく影響されるため一概には言えないが、各種調査などから次のようなことは言える。

調査会社NewZooによると、eスポーツの世界市場の内訳は、スポンサー・広告収入が全体の約60%を占め、次いで放映権収入が20%、チケット・グッズ収入が10%となっている。この内訳と同様に、チームの収益構造もスポンサー・広告収入がその大半を占めているのが現状だ。特に市場がまだ成長過程にある日本のチームはこの傾向が顕著であり、収益のほとんどをスポンサー企業からの資金に頼っているところが多い。
こうした状況も踏まえて、国内チームの収益面での課題を2点挙げたい。
1点目は、言うまでもなく、収益の柱であるスポンサー企業からの収入をどう持続的に確保するかである。資金を支援したい企業側とそれを受けるチーム側の適切なマッチングの不足が業界として大きな課題である。
2点目は、スポンサーからの支援に依存しすぎない収益ポートフォリオ(配分)の形成である。そのためにまずはグッズやイベントチケットといったファンからの直接収入を伸ばすことが求められる。特にグッズについてはゲーム内のデジタル販売といった新しい方法もあり、収益源として大いに期待できる。
海外では既に成功モデルができている。例えば、海外チーム「100 Thieves(100シーブス)」は関連グッズとしてアパレルに力を入れており、5分間で50万ドル分を売り上げたこともある。

また、中長期的にはリーグ戦の入場料や放映権収入も視野に入れておきたい。サッカークラブのFCバルセロナは年間10億ドルの売り上げの過半が入場料と放映権収入だ。当然、サッカーとeスポーツを単純比較はできないが、手本にはなるだろう。
2018年に始まったゲーム「オーバーウォッチ」の国際リーグは、一般のスポーツビジネスを参考にした収益分配モデルを採用し、入場料や放映権収入を各参加チームに還元する仕組みにしている。国内チームにとっても、こうした海外メジャータイトルリーグへの参戦や大規模国内リーグの誕生が、さらなる成長への弾みになると考える。

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日経産業新聞 2020年2月21日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

執筆者

KPMGコンサルティング
コンサルタント 田中 良樹

裾野広がるeスポーツ

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