世代やハンディキャップを越えるeスポーツ - ヘルスケア産業の視点から

世代やハンディキャップを越えるeスポーツ - ヘルスケア産業の視点から

「裾野広がるeスポーツ」第15回 - ハンディキャップに合わせたデバイスの開発や高齢者施設での健康増進としての利用など、ヘルスケア産業の現場に活用されるeスポーツの例を挙げ、社会的意義だけでなくビジネスとしての可能性も秘めるeスポーツの活用について紹介する。

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eスポーツの幅広い活用の1つとして、障害者・高齢者などの社会的弱者への取組みについて紹介したい。
eスポーツのメリットの1つとしてよく挙げられるのが、世代やハンディキャップを越えて競えることがある。日本でも障害者向けの大会や老若男女が楽しめるイベントが開催されている。また、体が不自由な人がゲームを楽しめるように口で操作できるようなジョイスティックなど障害に合わせたデバイスの開発や、障害者向けのeスポーツ講習など、障害者のeスポーツへの参加を支援する動きが見られる。
実際、これらのサポートを受けてeスポーツを体験した人からは「障害を理由にあきらめていたゲームを楽しめる」「スポーツのコミュニティに参加できないことにふがいなさを感じていたが、eスポーツを通じて参加できた」といった声が寄せられている。
eスポーツは単に遊べて楽しいというだけではなく、失った身体能力を他で補う訓練へのモチベーション(やる気)の維持や社会参加のきっかけにもつながる。海外ではトッププレーヤーとして活躍する障害者もおり、ハンディキャップを理由に夢をあきらめた人たちに希望を与える意味でも社会的意義は大きい。

eスポーツは高齢化社会の課題に対する解決策の1つとしても期待されている。
2021年度に予定されている介護保険制度改定の柱の1つ「介護予防・健康づくり」の中で、高齢者の「通い」の場を増やす重要性が強調されている。コミュニティへ参加するほど転倒や認知症、鬱のリスクが低い傾向がわかっており、「通い」の場が介護予防につながるためである。そこにeスポーツが活用できる。
高齢者施設などで遊びの事業を展開しているプレイケア(東京・港)では、高齢者に通ってもらうためのツールの1つとしてeスポーツを利用している。介護施設のアクティビティ(体験・遊び)に「太鼓の達人」や「グランツーリスモ」を導入し、健康増進に取り組んでおり、これまで敬遠する人が多かった男性の参加率が上がるなど、従来のアクティビティよりも参加者が増え、効果をあげている。

IT(情報技術)を活用した薬「デジタルメディスン(デジタル薬)」にも注目が集まっている。その1つに、ゲームを利用した治療法がある。例えば、発達障害の一種であるADHD (注意欠陥多動性障害)患者を対象に、スマートフォンやタブレットのゲームアプリを利用し、障害物を回避するなどの操作を通じて脳を活性化することで症状を改善させる試みも出てきている。
近い将来、ある疾患について薬剤よりもゲームの方が効果的という時代が来るかもしれない。ヘルスケアにおけるeスポーツの活用は社会的意義だけでなくビジネスとしての可能性も秘めている。

eスポーツで期待できる効果

障害者
  • 社会参加の促進
  • モチベーションの維持
  • リハビリ
高齢者
  • 社会参加の促進
  • 認知症の予防
  • 健康寿命の延伸

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日経産業新聞 2020年3月2日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

執筆者

KPMGコンサルティング株式会社
マネジャー 岩田 理史

裾野広がるeスポーツ

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