新型コロナウイルス感染症に対する通関および関税の特例措置

日本および世界各国における、新型コロナウイルス感染症に対する通関および関税の特例措置の内容をお伝えします。

日本および世界各国における、新型コロナウイルス感染症に対する通関および関税の特例措置の内容をお伝えします。

I. 日本における特例措置(2020年4月22日時点)

1. 関税の免除、通関申告の簡易化

新型コロナウイルス感染症対策に係る救援物資やライフラインを確保するための物資など、緊急に通関を行う必要のある物品の輸入通関は、優先して通関を行うこととされており、輸入される貨物が無償で提供されることを確認できる場合には、その貨物に課される関税、消費税は免除されます。また、同対策に係る救援物資等の輸出入の申告にあたっては、その際の手続において、通常の申告よりも申告事項の少ない簡易な様式で申告を行うことができます。
税関にマスクや消毒液等の物資の輸入通関に係る問い合わせが多数あることから、よくある質問についてQ&Aも下記税関HPで公開されていますのでご確認ください。

税関HP:新型コロナウイルス感染症対策に係る輸出入通関手続等について
税関HP:マスク及び消毒液の輸入通関に関するQ&A

2. 通関関係書類の提出期限の猶予

・特定原産地証明書について
新型コロナウイルス感染拡大に起因し、経済連携協定の締約国の権限がある当局等が、締約国原産地証明書等の発給を休止している場合や、当該締約国から書類を運送することが困難となっている場合などには、関税法施行令に規定する「災害その他やむを得ない理由」に該当するものとして、輸入申告などに際して締約国原産地証明書等の提出猶予が認められます。

なお、本取扱いは締約国原産地証明書等の提出を不要とするものではありません。よって、締約国原産地証明書等を提出できない場合には、特恵税率の適用は認められないこととなりますので、納付すべき税額に不足額があるときは修正申告をする必要があります。

税関HP:各国における原産地証明書発給停止等への対応

・外為法に係る輸出入承認、輸出許可証について
外為法において規定されている貨物の輸出入に必要となる、輸入承認証、輸出許可証または輸出承認証の有効期間が過ぎるおそれのある場合は、一定の期間、延長の申請をすることが可能です。

経済産業省HP:新型コロナウイルスの流行に伴う輸出入手続きの緩和等について

II. 世界各国税関の特例措置(2020年4月8日時点)

各国の税関当局についても、企業への新型コロナウイルス感染症の影響に対応するため、特例措置を実施しています。KPMGは世界39ヵ国の措置とEUが採択した措置の概要をまとめた下記英文レポートを作成しています。自社企業が関連する国の特例措置の内容を確認いただき、利用できる制度または留意すべき規制がないかご確認ください。なお、最新の動向については、下記KPMGウェブサイトをご覧ください。

新型コロナウイルス感染症に関するKPMGレポート(英文:2020年4月8日時点)(PDF 1,027KB)

KPMGウェブサイト (An overview of government and institution measures around the world in response to COVID-19)

Trade & Customs Newsletter No.17

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

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