インド関税最新情報 -インド関税法の改正案-

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Trade and Customs Newsletter - インド関税法の改正案の最新動向についてポイントを整理しています。

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輸出国当局が発行した原産地証明書を精査するインド税関職員の権限強化

現行法の下での税関検認について

インドが各締約国と締結する自由貿易協定(以下、「FTA」)の大部分は、第三者証明方式に基づいています。すなわち、FTAの規定に従い、インドへの輸入に際して輸入者が関税上の特恵待遇を要求するためには、輸出国の輸出者または製造者は当該産品がFTAの原産地規則に適合していることを証明する原産地証明書を輸出国の権限のある第三者機関に申請し、取得することが必要です。

輸出国の第三者機関が発給する原産地証明書の要請は、FTAの下では一般的な原産地証明の運用方法です。製品がFTAの原産地基準を満たしているか否かを判断するために必要な製造情報にアクセスできるのは、輸出者および/または製造者であることからすれば当然の運用であり、またこれにより、輸出者または製造者が提出した原産地関連情報を輸出国の権限のある第三者機関が検証することにより、当該情報の正確性が担保されます。

ただし、インドの税関当局にとっては、この運用は、輸出国で審査を行う輸出国の発給機関の判定結果を、ほとんどチェックすることなく受け入れることを意味していました。インド政府は、FTA原産性の判定誤りにより、FTA締約相手国からFTA税率を適用して輸入される製品の不正な価格競争力が、インド政府が促進しようとする「Make in India」プログラムを阻害するとして問題視しています。

このような観点から、インドの税関職員は輸入者に対して、原産地証明書に加えて原産性確認のための追加情報を求めようとしたところ、そのような追加情報徴求の法的根拠がない旨の反論を受けました。

改正後の税関検認権限について

そこで、インド政府は、2020年2月1日に、2020-2021年度の政府予算案を提出し、輸入者側により大きな検認対応責任を課すための関税法の改正案を提示しました。

この改正法が発効すれば、税関は次のような法的権限を有することになります。

 

  •  製品が原産地規則に適合していることを裏付けるために、輸入者が十分な情報を保持することを義務付ける。
  • 税関職員が、輸入した日から最大5年間、FTAの適用および原産地証明書を精査し、輸入者および輸出当局に直接情報を要請することを認める。
  • 税関職員に対し、輸入者が要求された情報を提供するまでの間、FTAの適用を一時的に停止し、貨物の輸入を保留する権限を認める。停止期間中、物品は、輸入者の要請により、一般関税率および特恵関税率の関税率の差額を支払うことを条件として、貨物を輸入することができる。
  • 輸入者が要求された情報を適時に提供できない場合または提供しない場合には、税関職員の裁量によりFTAの適用を否認することができる。

 

上記の内容の関税法改正案が議会を通過し、大統領の承認を得た場合(与党が議会の過半数を占めていることを考えれば、どちらも避けられない状況と考えられます)、輸入者は原産地証明書のみに頼ることはできなくなり、代わりに、これまで輸出者および輸出当局が保持してきたFTAによる特恵関税率の主張を立証するための十分な情報を保持していく必要があります。これはまた、各FTA上の多くの品目別規則が、相手締約国で生産された製品に一定の付加価値割合を要求していることを考えると、さらなる煩雑さをもたらす可能性があります。また、輸出者や製造者は、第三者輸入者との価格交渉に障害となりかねない製品原価情報を開示することに極めて消極的にならざるを得ない可能性があります。

上記の関税法改正により、FTAの適用に伴うインド税関の検認要請がエスカレートする可能性があります。輸入者側に対する検認への対応を準備する必要がありそうです。

 

Trade & Customs Newsletter No.16

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

Trade and Customs Newsletter

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