車載半導体:新たなICEの時代

車載半導体:新たなICEの時代

半導体や電子機器がもたらす機能によって、自動車が差別化される新たな時代を迎えつつあります。この大きな転換により、自動車の「内部コンピューティングエンジン」の構成部品である車載半導体が自動車イノベーションの中核を占めるようになります。本稿では、半導体業界と自動車業界に発生する収斂と、その課題について考察します。

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重要なポイント

  • 半導体が自動車の新しいICEである「内部コンピューティングエンジン」の主要な構成部品となる、自動車の新たな時代が迫っている。
  • 自動車業界の4つのトレンド、電動化、自動運転、コネクティビティおよびMaaSによって業界の形態が変わり、自動車搭載の半導体部品が劇的に増えている。
  • 自動車は電子機器、ソフトウェア定義の機能、自動車からクラウドシステム全体のハードウェアとソフトウェアの最適な統合によって、ますます差別化される。
  • 車載半導体市場は、2019年の400億ドルから2040年には2,000億ドルへと著しい成長を見せる可能性がある。
  • パソコンやスマートフォンなどのテクノロジーベースまたはソフトウェア関連の業界で、有利な位置を占めているわずかなプレイヤーが価値を獲得したように、自動車業界も同様の劇的な変化をたどる可能性がある。
  • グローバルな自動車サプライチェーンに属する大手半導体業界や自動車企業のマネジメントは、投資先とその方法、事業展開、人材獲得について複雑な決定を迫られることになる。

半導体需要を加速させる自動車における4つのトレンド

車載半導体業界は、2019年には推定400億ドル規模という目覚ましい発展を遂げています。4つの相互に関連したトレンドである電動化、自動運転、コネクティビティおよびMaaSが、自動車の典型的な特徴を劇的に変化させるでしょう。

図 自動車産業の形を変える4つのトレンド
図 自動車産業の形を変える4つのトレンド

4つのトレンドが半導体業界に及ぼす影響

電動化、自動運転、コネクティビティ、MaaSという4つのトレンドは、半導体業界にも影響を及ぼします。電動化と自動運転は半導体需要の成長を支える最大の要因となり、同時にEV充電所やインフラセンサーなどの自動車関連設備も半導体需要を増加させると考えられています。さらにADAS(先進運転支援システム)、インフォテインメント&テレマティクスおよび電動パワートレインの利用にけん引される成長は、今後数十年間で自動車における半導体部品の構成割合が変化し、これらに利用されるチップが車載半導体市場に占める割合が2019年の45%から、2040年には80%になる可能性を示しています。

ただし自動車市場は、家電などのほかの大規模な市場とは異なり、半導体部品を利用する量が少なく、開発サイクルが長いという特徴があり、収益を増やしたい半導体企業はより柔軟に対応する必要があります。さらに先進的な車両におけるハードウェアとソフトウェアの最適な統合が複雑であること、未来の自動車とそれをサポートするために必要とされるインフラのターゲットが今なお移り変わっていることなどの課題があります。半導体企業のマネジメントはいつどこに投資するかを決める際、その複雑さに直面するでしょう。

図 ADAS、インフォテインメント&テレマティクス、電動パワートレイン用の半導体は2019年から2040年の間に最も高い成長率を示し、2040年までには車載半導体市場の大半を占める見通し
図 ADAS、インフォテインメント&テレマティクス、電動パワートレイン用の半導体は2019年から2040年の間に最も高い成長率を示し、2040年までには車載半導体市場の大半を占める見通し

出典:IHS Markit(2019)およびKPMG Automotive Semiconductor Market Model

新たな自動車市場、新たなプレイヤー、新たな関係

自動車のサプライチェーン全体において、プレイヤーは業界トレンドに速やかに適応する必要があり、これにより半導体企業の事業運営は影響を受けます。自動車メーカーが自動運転車およびコネクティッドカー生産のためにイノベーションを加速させる方法を模索することで、半導体サプライヤーやソフトウェア企業など新たなプレイヤーが自動車の電子機器市場に参入しており、従来のサプライヤーは焦りを感じています。

電気自動車、自動運転車、コネクティッドカーに向けた自動車業界の進化には、慣例にとらわれない考え方と新しいビジネス戦略が必要です。これにより自動車サプライチェーンが多くの新しい参入企業によって開かれ、半導体市場は市場参入とイノベーション戦略の適応に迫られます。

一方、Tier1の電子機器サプライヤーは、自動車メーカーとチップメーカーの緊密な協力による影響と、より多くの価値を獲得するソフトウェアサプライヤーの出現を警戒しています。その結果、Tier1の電子機器サプライヤーはソフトウェアや自社のチップ製造施設を含むイノベーションに多額の投資を行っており、引き続き業界のニーズの変化に合わせて付加価値を獲得する機会を得ています。

これからの動向は? 自動車および半導体企業への戦略的な質問

電気自動車、自動運転車およびコネクティッドカーの新しい時代に業界が移行し、半導体が内部コンピューティングエンジンという新たに差別化されたテクノロジーになると、自動車と半導体企業のマネジメントは多くの戦略的課題に直面するでしょう。安全性、快適性、ユーザーエクスペリエンスの向上に対する需要を満たすため、車両がますますソフトウェアおよび電子機器によって定義されるデバイスになります。自動車メーカーとTier1サプライヤーは、そのような需要を可能にする重要な半導体、ソフトウェアおよびデータを最大限に活用し、統合する方法を決めなければなりません。

半導体が自動車設計の中心に移行し、市場とサプライチェーンが需要に合わせて急速に発展するにつれて、半導体企業は大きなチャンスを迎えます。一方でリスクを効率的に管理し、市場開拓戦略を適応させる必要があるでしょう。

必要なアクション

今後、電気自動車、自動運転車およびコネクティッドカーが一般的になるまでの道のりは険しいものとなり、多くの難しい決断が必要となります。そこで半導体企業のマネジメントにおいて、市場開拓アプローチや製品ポートフォリオを評価し新しい自動車トレンドに乗るのに良い位置にいるかを判断する、社内R&D・戦略的M&Aを活用して包括的な開発戦略を検討する、バリューチェーン全体の現在の関係に対する混乱のリスクと影響の分析および定量化を行うことを推奨します。

英語コンテンツ(原文)

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