メキシコ2019年法人税確定申告書フォーマットの変更について

メキシコ2019年法人税確定申告書フォーマットの変更について

2019年度法人税確定申告書(2020年3月末提出期限)のフォーマット変更について留意すべき重要な点を以下にまとめております。

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SAT(メキシコ税務当局)によって2019年度法人税確定申告のフォーマット変更が公表されました。2019年度の法人税確定申告書の提出は2020年3月末となりますが、このフォーマットを使用して納税者は申告を終了させる必要がございます。

主要な変更項目として皆様にとって重要なのは、このフォーマットでは税額計算における重要ないくつかの項目の数値をSAT側が自動的に算出してくる点にあり、しかもその数値の修正を申告義務を持つ納税者側で修正できないというところにございます。

以下、その対象となる項目ですが、

  • 課税対象となる「売上、収入」項目は、納税者が過去に提出している月次予定納税申告書の数値をSAT側が合算して自動的に算出を行います。この金額の修正を納税者側は行えません。修正が必要な場合、月次申告を修正し、その修正が確定申告書に反映されるのを待つ必要があります。納税者はこの総額の売上金額についての内訳を所定のフォーマットに従い記載するのみとなります(例:国内売上、海外売上、為替差益、利息収入等)。
  • 「費用」項目は、「給料・賃金」項目がすでに納税者が発行している給料CFDIをベースとしてSAT側が自動的に算出を行います。同様に給料源泉税の金額も給料CFDIデータから従業員より源泉を行った源泉税累計額の情報、さらに納税者の月次源泉申告書より実際に納められた税額をそれぞれ引っ張ってきて確定申告書の項目に金額を固定します(この金額に差異がある場合、その差異も自動的に確定申告書に算出される仕様となっています)。これらの金額の修正も納税者側で行うことはできません。修正には元データのCFDIの修正や月次申告書の修正が必要とされます。また人件費の損金算入限度額計算(個人所得税の非課税部分の53%が原則損金算入可能額)についても自動計算されます。
  • その他、月次納税ですでに納付している予定法人税納付額、インフレ調整計算(納税者により貨幣性資産と負債の残高を入力することにより)や、PTU計算も当該申告書フォーマットにおいて自動計算が行われます。
  • 確定申告書の数値をベースに2020年3月以降の月次申告で適用される利益係数もこのフォーマットにおいて自動計算されますのでそれを使用することで確定申告後の月次申告対応を行うことになります。

上記の変更点は、2018年下期よりSATが新たに導入してきた電子データを活用した納税者への質問状(Invitation letter)の発展形ともいえます。SATが電子データで納税者の様々なデータを収集できるようになっており、それをSATにとって効果的、効率的な方法で活用し始めていることは我々にとって周知の事実でありますが、今回の申告書フォーマットの改正も、SATが入手できうる納税者データを活用して納税者の申告数値の一部をこのように固定させ、管理をより強化する(その負荷は納税者側がとる)ことが狙いとなっています。

このフォーマット変更により今後も予期せぬ論点や問題点が出てまいりそうですが、現在のところ我々納税者側にとっての懸念点は大きく以下が挙げられています。

時間的な制限
年度最終の売上の額に変更がある場合、納税者側は月次申告書の修正が必要であり、給料数値やその源泉税の数値の変更も元データのCFDI等を修正することが必要とあり、そこでなされた修正が確定申告書に反映されるまで待つという流れになることはすでに説明さしあげた通りですが、その反映までの時間軸がどのくらいになるのかによって期日までに確定申告書の提出が間に合わないというケースが容易に想定できます(SATの非公式なコメントでは2週間かかるという話もございます)。当然ですが、会社が帳簿上認識している数値と当該申告書の数値に差異がある場合、その差異を申告までの短い期間で確認、必要に応じて調整する必要がでてくる納税者側の実務的な負荷も、上記単なる手続き的な時間軸に加えて相当なものになるかと考えられます。

SATの自動算出データの正確性
Invitation letterによる確認依頼でもよく見られた事例ですが、SATが彼らの持つデータの積み上げにより算出してくる数値が正確なものかについて納税者側として依拠できないケースも想定されます。繰り返しになりますが、その際の問題はその際に当該データの正確性を議論するのはSATではなく納税者側が確認を行う点です。またフォーマットのシステム仕様上必ず差異が発生する項目もすでにいくつか確認されているようです。例えばSalary CFDIにおいては、納税者の納める給料源泉税で仮にSurchargeや遅延利息などが発生していた場合、従業員に発行するCFDIの累計と納税者が申告、納税する月次源泉税申告書の額は当然に差異が発生することになります。またCFDI発行と納税の間に期ずれがあることも当然想定されますが、それも確定申告書上では差異として現れてきます。さらに人件費の損金算入限度額計算(53:47)もシステム上自動算出されることになりますが、従業員に対して発行するSalary CFDIにはPTUも含まれることになり、当該限度額計算はPTUは対象とならない(PTUは100%支払い時に損金算入)ため、そこでも差異が発生することになります。

執筆者

KPMGメキシコ
メキシコシティ事務所
ディレクター 東野 泰典

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