IIRC、年内の統合報告フレームワークの更新にむけ、3つのトピックペーパーを公表

IIRC、年内の統合報告フレームワークの更新にむけ、3つのトピックペーパーを公表

2020年2月20日、国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council、以下「IIRC」)は、2020年末に予定している国際統合報告フレームワーク(以下、統合報告フレームワーク)の更新に向け、その方向性を定める目的で、3つのトピックペーパーを公表し、意見募集を開始しました。

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IIRCは、2017年に実施した市場からの意見募集を通じて、2013年12月に公表した統合報告フレームワークの全般的な有効性が維持されていることを確認していますが、その後のビジネス環境や政策が進展した状況下においても、その適合性を保持するため、軽微な更新を行うことを2019年11月に決定していました。

3つのトピックペーパーの概要

今回の意見募集では、2020年末に予定している統合報告フレームワークの更新の方向性を定める目的で、次の3つのテーマを取り上げています。

  1. Responsibility for an integrated report
  2. Business model considerations
  3. Charting a path forward

1. Responsibility for an integrated report - 統合報告書に対する責任

1つ目のトピックペーパーでは、統合報告書に対する責任(フレームワークのパラグラフ1.20)を取り上げています。
現在の統合報告フレームワークは、ガバナンス責任者が、統合報告書の内容に責任を有すること、集団的思考(collective mind)に基づき統合報告書が作成されていること、統合報告書がフレームワークに準拠していることについて表明するよう求めています。
しかし、IIRCは、このような表明が付された統合報告書はいまだ少数であるとの調査結果を明らかにしています。また、統合報告書にこうした表明を付すことに対する懸念や反対意見等が寄せられているとも述べています。
IIRCは、これらの実情を考慮し、統合報告書に対する責任の表明に代えて、統合報告書の誠実性を確保する手段などといった、統合報告書の作成を下支えするプロセスに関する説明へと、要求事項を変更することを提案し、意見を求めています。

IIRCの提案

  • 統合報告書に対する責任の表明から、その作成を支えるプロセスの説明へとシフト変更する
  • プロセスの説明へシフト変更すると仮定した場合に、補足ガイダンスを提示することで開示をサポートする
  • 「ガバナンスの責任者」の意味と範囲を明確に示す

2. Business model considerations - ビジネスモデルに関する検討事項

2つ目のトピックペーパーでは、統合報告書におけるビジネスモデルの説明について、次の課題認識が述べられています。

  1. アウトプットとアウトカムの混同
  2. アウトカムと価値創造の相互関連性についての説明の希薄さ
  3. ポジティブな内容に偏重するアウトカムの報告
  4. 統合報告書が「インパクト」を見落としているという見解の存在

IIRCは、アウトプットとアウトカムが混同され、しばしばアウトカムの説明が省略され、結果として、ビジネスモデルと価値創造とが関連付けて説明されていないという問題が誘起されていると述べています。一方で、アウトカムが説明されていても、定量情報の提示が少なく、好ましい事象ばかりが取り上げられていたり、ビジネスモデルが「利益をあげる方法」と解釈され、短期的なアウトカムが強調されることに懸念を示しています。
また、統合報告フレームワークの「統合報告書の主たる目的が、財務資本の提供者に対し、組織がどのように価値を創造するかについて説明すること」との記載が、投資家の優位性を示すものであるとの誤解を招き、統合報告書が、外の世界が組織に与える影響のみに焦点を当て、組織が社会や環境に与える長期的なインパクトを見落としていると主張する声があることについて、2020年のフレームワーク更新で対応したい考えを示しています。
そこで、IIRCは以下のような提案をし、意見を求めています。

IIRCの提案

  • アウトプットとアウトカムとの混乱を低減する
  • アウトカムと価値創造のリンクを説明する
  • アウトカムに関する報告における偏重の解消を促進する
  • 統合報告における(社会や環境に対する)インパクトの包含性を強化する

3. Charting a path forward - 今後に向けて

3つ目のトピックペーパーは、他の2つがより近い将来の更新を目指すものであるのに対し、より長期の視点で、次の点に関する意見を求めています。

  • 統合報告書の目的:統合報告書が、投資家の関心やニーズを、他のステークホルダーのそれに優先すべきとしているという誤解を解消するため、パラグラフ1.7に記載の統合報告書の主たる目的を、(財務資本だけでなく)すべての資本の提供者に組織が長期にわたって価値を生み出す方法を説明することとし、パラグラフ1.7の変更に伴い、同1.8に記載の統合報告書の受益者に、財務資本の提供者を追加するという案に同意するか
  • 企業報告におけるテクノロジーの役割:将来の企業報告においてテクノロジーが果たす役割として、IIRCが考慮すべきことは何か
  • 統合報告の保証:フレームワークを進化させ、統合報告書の保証をより実装しやすいものとする方策はあるか、また、保証に関することは、任意の報告フレームワークではなく、規制当局や保証に関する基準設定主体が取り扱うべきだと思うか
  • 企業報告に影響を与え得るその他の事項:統合報告フレームワークをより時代に即したものとするために、またIIRCの今後の戦略上のアジェンダとして、IIRCが検討すべき事項はあるか

今後の予定

IIRCは、これら3つのトピックペーパーに対して、2020年3月20日まで広く意見を募っています。寄せられた意見を参考に、統合報告フレームワークの更新の方向性を定め、5月から8月の間に、統合報告フレームワークの更新版の公開草案を公表し、90日間の意見募集を行う予定です。その後、11月から12月の間に、統合報告フレームワーク更新版の公表を目指しています。

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