「子会社への投資に関する繰延税金(IAS第12号に関連)」-IFRICニュース2020年6月

IFRS解釈指針委員会ニュース(2020年6月) - 「子会社への投資に関する繰延税金(IAS第12号に関連)」については、2020年6月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

「子会社への投資に関する繰延税金(IAS第12号に関連)」については、2020年6月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

関連IFRS

IAS第12号「法人所得税」

概要

以下の前提において、企業はどのように子会社への投資から生じる税効果を連結財務諸表において会計処理するか。

  • 子会社の未分配利益について、子会社への投資に関する将来加算一時差異が発生する。
  • 子会社からの配当を見込んでいるため、子会社への投資に関する繰延税金負債の認識の例外についてのIAS第12号第39項の要件は満たされていないと企業は判断した。
  • 企業とその子会社が所在する租税管轄地の課税関係は以下のとおりである。
    (a)利益は配当時のみ課税される(未分配利益には課税されない)
    (b)配当利益には20%の税率が適用される。ただし、企業の実施した配当のうち、企業の子会社での配当時点で既に課税された部分について、再度課税されることはない。

 

一時差異の解消時期がコントロールでき、かつ、予測可能な期間内には、当該一時差異が解消しない可能性が高いのであれば、繰延税金負債の計上は不要とされる

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2020年6月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IAS第12号第39項は、子会社への投資に係る将来加算一時差異について、例外的な場合を除き繰延税金負債を認識することを要求している。子会社への投資から生じる一時差異が認識の例外に関する同項の要件を満たさないと企業が判断している以上、本ケースでは繰延税金負債が認識される。
  • IAS第12号第51項は、繰延税金資産および負債の測定にあたり、報告期間の末日において見込まれる資産又は負債の簿価が回収又は決済される方法から生じる税務上の帰結を反映するように会計処理することを求めている。本ケースでは、企業は子会社への投資簿価を配当を通じて回収すると見込んでいるため、子会社への投資に関する繰延税金負債の測定には配当の際に適用される税率を使用する。
  • IAS第12号第57A項は、配当に関連する負債を認識する時点で、関連する税効果を認識することを要求している。この項は、報告企業自体が配当支払いを実施する場合にのみ適用されるため、本ケースには適用されない。
  • IAS第12号第52A項は、企業が配当を実施することで通常より高い又は低い税率が適用される法域においては、繰延税金資産および負債の測定にあたり、未分配利益に適用される税率を用いることを定めている。この項は、利益の分配を受けたことから生じる課税関係自体を反映する当期税金資産・負債または繰延税金資産・負債の測定に適用されるものではない。

IFRS-ICは、2020年6月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の原則及び要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

お問合せ