消費者プラットフォームとしてのバンキング - バンキング体験の再構築

消費者プラットフォームとしてのバンキング - バンキング体験の再構築

銀行はデジタル化と、これを活用したサービス提供機会の拡大を模索しています。そして、巨大消費者プラットフォームは、銀行とのコラボレーションを求めています。あなたの組織はグーグル、アップル、フェイスブック等と協働する準備はできていますか。これらのパートナーシップを顧客にとっての持続可能な価値に転換する方法を理解していますか。

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どの銀行の意思決定者にとっても、消費者プラットフォームと協働する理由は明らかなはずです。銀行は自行の顧客体験、サービス、商品のデジタル化を強く望んでいます。そしてそれは、従来型実店舗でのサービスモデルの枠組みを越えて拡大するということを意味します。

大部分の銀行幹部には、消費者プラットフォームが将来競争相手となりそうだという認識があります。しかしまた、現在の経済情勢では、自行のデジタル変革に関する最大の課題のいくつかを達成するには、消費者プラットフォームの強みと広範な顧客リーチを活用する必要があることも理解しています。

プラットフォームの力

巨大な消費者プラットフォームをもつ企業と提携すべき理由で最も明白なのは、そのネットワークの規模と顧客リーチの広さです。
グーグルは1日あたり約56億件の検索を処理しています。
フェイスブックの月間アクティブユーザーは25億人近くになるといいます。

また、世界中で14億台のアップルのデバイスが実際に操作されています。世界最大規模の銀行でさえも、これには及びません。

その顧客リーチの広大さの他にも、銀行が巨大消費者プラットフォームとの提携を検討すべき重要な理由があります。第1に、顧客体験にかかわる理由です。現在の銀行は、支店であれアプリやスマートフォンを通じてであれ、顧客に自行の現行の商品・サービス提供チャネルを見つけてもらう必要があります。これに対し、顧客が本当に求めているのは、自分がどこにいようと銀行を使えることであり、銀行はこの落差に関する認識をますます強めています。消費者プラットフォームにより、その解決が可能となるのです。

第2の理由は、規模の拡大による効率性の向上です。銀行は新しい経済への移行に役立つように、自行の取引量と収益を増大させたいと考えています。既存の支店やレガシーシステムに現在埋もれている資産のいくつかを開放しようとしています。消費者プラットフォームは、銀行が自行の商品をより効率的に提供する手段をもたらしてくれます。

消費者プラットフォームとの提携を検討する第3の大きな理由は、データです。銀行は、「同一顧客の情報を統合すること」においてさえも、いまだに顧客についての十分な理解を獲得できていないという認識を強めています。銀行の貴重な情報源は、依然として支店から収集したものに限られています。消費者プラットフォームは、はるかに広範な消費者グループにわたり豊かなデータを提供してくれます。さらには、このデータはすでにデジタル化されているため、そのままマイニングや分析を行うことができます。

双方が望むパートナーシップ

現在、銀行が消費者プラットフォームとの提携を渇望しているのに対し、相手側も同様の希望を持っています。実際、巨大消費者プラットフォームは今のところ、銀行側と同程度に提携を必要としています。これらの巨大テクノロジー企業は、バンキングが規制による制約の大きい複雑な事業であることを知っており、従来型銀行との提携により、現在自分たちに欠けている金融サービスの専門知識、コントロール、モデルを獲得することを望んでいるのです。

すべての巨大消費者プラットフォームが、何らかの形で金融サービスに進出しています。しかし、そのオファーの大部分は、たとえば広範な顧客セグメントをターゲットとする単一商品や決済管理、保険の補償など、かなり単純で小規模なものでした。これらの企業が次の段階に進化するには、金融サービス商品の一括販売、すなわち、他の金融商品との組み合わせと、保健・医療および健康のような他のデータソースやサービスとの組み合わせの両方が必要となるでしょう。それには金融サービスにおける深い経験とノウハウが求められます。

おそらくより重要なのは、巨大消費者プラットフォームの多くが、銀行に対する顧客の高い信頼レベルを活用したいと望んでいることです。こうしたプラットフォーム企業は、自社がこれまでに蓄積してきた力と現在所持している大量の個人データに関して、顧客が(政策立案者も)懸念を持っていることを認識しています。銀行との提携は、消費者が求める信頼と信用をある程度はもたらしてくれるはずです。

消費者プラットフォーム企業はまた、従来型の大手銀行とのコラボレーションに関して他にもメリットがあると見ています。これらの企業は、新たなスキルやケイパビリティを懸命に学ぼうとしています。その巨大な資本の活用を望んでいます。そして、市場の垂直統合、あるいは他のビジネスラインに適用できる新たなツールと技術を開発しようとしています。

さまざまなパートナーシップ

KPMGのメンバーファームによると、一部の従来型銀行は巨大消費者プラットフォームとさまざまな関係を構築し始めていますが、これは驚くには当たりません。その大半は、自行のマーケティングの改善や顧客データの収集および分析にフェイスブックのようなソーシャルメディア・プラットフォームを使用しています。これはかなり単純なやり方です。

もっと先進的な銀行は現在、小売プラットフォームやグーグル(それ自体はグーグルのウェブサービスがサポート)のような検索プラットフォームと協働し、完全に新しい金融商品とチャネルを開発しようとしています。これらの銀行とプラットフォームは、それぞれの顧客を喜ばせる革新的方法を発見するために、新しいアイデアの共創と新たなテクノロジーの試用に取り組んでいます。

アップルがApple Cardの発行のために行ったゴールドマン・サックスとの提携は、銀行と巨大消費者プラットフォームとのコラボレーションのもう1つの方法を示しています。決済の選択肢が、ウォレット、マップ、NFCなどのアップルの多くの主要機能とゴールドマン・サックスのクレジット商品を結びつけ、クレジットカードに関するすべてを変える(と宣伝される)サービスを提供しています。

先行企業がチャンスをつかむ

これらは先行企業による初期戦術と思われるかもしれませんが、KPMGの専門家は、チャンスをつかむことのできる銀行はほんの一部だと考えています。それは、将来の優位性の基盤を作るために今行動している銀行です。

実際のところ、巨大プラットフォーム企業がパートナーとして必要とするのは一握りの銀行のみです。その地の規制当局の出方にもよりますが、おそらくは1市場あたり1つのパートナーでしょう。最初のいくつかのタイアップが行われて結束が強まれば、他の銀行はそのプラットフォームにアピールする差別化された提案を考え出すことがますます難しくなると気づくでしょう。

プラットフォームのための準備

おそらく大部分の銀行幹部は、この種の関係から価値を創出する準備が自行にできているかを自問しているでしょう。ことによると、他の(おそらくは小規模な)技術提携が失敗するのを目撃しているかもしれません。銀行幹部たちは、高確率でホールセール変革のリスクを懸念しています。そして、自行のテクノロジー・ケイパビリティと老朽化したデータシステムがその役割を果たせるものかと疑っているかもしれません。

これらはすべて重要な検討事項ではありますが、KPMGのメンバーファームの経験により、これらの関係から価値を引き出す上で最も大きな障害の1つは、組織的、文化的、戦略的障害であることがわかっています。銀行と消費者プラットフォームとのコラボレーションに基づき、銀行幹部が消費者プラットフォームとのパートナーシップと統合に向けて進む際に重視したいと考える領域を、以下の4つと考えています。

1.事業のドライバーに的を絞る

これらのパートナーシップを役立てる事業目的を明確にし、その上で事業のドライバーを中心に意思決定を行うようにします。目的が顧客体験の向上であるならば、顧客がその戦略の中心となるようにします。効率性の向上を望んでいるのならば、財務と生産性の指標を中心にします。パートナーシップがどのように発展するかにかかわらず、主要ドライバーに焦点を合わせておくことが重要です。

2.組織の機敏さを促進

テクノロジー企業とのコラボレーションでは、常にスピードが重要となります。銀行のリーダーは、アジャイルな実行技術の採用から自行のITインフラの合理化に至るまで、組織の機敏さを高める方法を探るべきです。銀行が市場のスピードに合わせて業務を行えるようにするテクノロジー・オペレーティング・モデルには、何があるでしょうか。そして、アイデアから規模の拡大(場合によっては、失敗)へと迅速に移行するために、個々のプロジェクトや投資に関してその出資・測定・管理の方法を再考しなければなりません。

3.成功のために適切なスキルとケイパビリティの構築

消費者プラットフォームとのパートナーシップが展開し始めると、銀行は新しいアイデアを発案するためだけではなく、商業化の準備ができたときにそれを拡大するためにも、必要とするスキルを持つ人材を引き寄せ、育成し、維持する方法を再考する必要が出てきます。人材管理とスキルの開発は、将来のモデルとイノベーションから価値を引き出すための鍵となるでしょう。

4.大胆なリーダーシップの適用

これは最も重要なことかもしれませんが、銀行幹部は将来のために組織の準備態勢を整えようとする場合、大胆である必要があります。失敗を受け入れ、危険を冒す大胆さがなければならないでしょう。従業員、顧客、関係者に関してしっかりとしたビジョンを持ち、それを明確に語る必要があります。模範を示して指導し、強硬なコミュニティを説得し、制御よりも共有を優先し、先入観よりも信頼に基づくことが必要です。銀行幹部は、難しい決断を下す必要があるでしょう。組織のリスクおよび規制要件とすべてのイノベーションとの間でバランスを取ることは、簡単なことではありません。

KPMGインターナショナルが実施した最近のCEOおよびCIOへの調査によると、主導的銀行は以下の4つの特徴を持っています。

柔軟性がある

  • 縦割り手法の除去
  • 自己管理を行う機能横断型チームの構築
  • コラボレーション
  • スピードの調整が可能

商品中心である

  • バンキング商品に合わせた提供方法
  • エコシステム上で自在に変更し得るモジュラーアーキテクチャの構築

拡大性がある

  • 組織管理型テクノロジーの奨励
  • 高性能のIT機能による大規模な提供

人間的である

  • 常に対応できるリーダーの存在
  • 目的に向かって邁進
  • 実験を奨励し、早期の失敗を許容
  • 力と制御を共有
  • チームが意思決定を下すことが可能

準備はできていますか

消費者プラットフォームと提携する理由は明白です。早急に動く必要があることも明らかです。目下の大きな問題は、このチャンスを活かして出現しつつあるリスクを管理するのに、どの銀行が準備を整えられるかということでしょう。私たちの見解では、そのような銀行が将来、優位に立つことになります。あなたの銀行はその1つになれるでしょうか。

英語コンテンツ(原文)

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