IFRS第17号「保険契約」の適用 監査委員会(ガバナンス責任者)のための検討事項

Global accounting networksが監査委員会向けのガイダンスを発行

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IFRS第17号「保険契約」は、現在のところ2022年1月1日が強制発効日となる見込みです。万全な適用を確実にするために、監査委員会は今こそ積極的に活動し、強固なガバナンスを提供する必要があります。

IFRS第17号の適用時における監視機能の一つとして、保険会社の監査委員会は経営者の適用準備の進捗状況及び、IFRS第17号に従って作成された財務諸表を監査する外部監査人の準備状況を評価する必要があります。
グローバル・パブリック・ポリシー委員会(GPPC: BDO、Deloitte、EY、Grant Thornton、KPMG及びPwCの代表者で構成されている)は、監査委員会(ガバナンス責任者)が責任を果たすために役立つガイダンスを提供する目的で、2つの共同文書を発行しました。
KPMGは、監査委員会と財務諸表作成者に主要なコンテンツの概要を提供するために、GPPCペーパーのクイックガイド(PDF:433kb)を発行しました。
IFRS第17号に対する監査人の対応については、2020年後半にGPPCペーパーが公開される予定です。

適用上の課題

多くの保険会社にとって、IFRS第17号は、保険契約の会計処理の大きな変更であり、影響の範囲は非常に大きいものになります。保険会社の監査委員会は適用段階及び適用後も監視機能の役割を果たすことになります。
新しい基準の適用は非常に困難なものになるでしょう。

  • 複雑性の増大:
    経営者には財務報告に重要な影響を与える可能性のある技術的な決定と判断が要求されているため、監査委員会は主要な基準適用上の課題を認識する必要があります。
  • 多岐にわたるアプローチ及び結果:
    適切な手法を選択し見積もりを作成するためには、経営者の高度な判断が必要になるため、当該経営判断が行われるプロセスに対して、強固なガバナンスが存在することが重要です。
  • 適用にかかる時間と労力:
    保険会社の財務報告の概観と内容が変わります。基準適用のためのプロジェクトは大規模で、複雑かつ高額な費用を要する可能性があるため、監査委員会は今こそ積極的に活動する必要があります。

GPPCは、本紙と付属資料を公開しています。これらの文書は、監査委員会が経営者および外部監査人と議論するための主要な質問をまとめています。

進捗及び準備状況の評価

本紙には、監査委員会が経営者の実施計画とIFRS第17号に基づく監査を行う外部監査人の準備状況を評価するのに役立つガイダンスが含まれています。
下記に関する重要な考慮事項について説明しています。

  • 経営者 - ガバナンスの責任者が経営者との議論を想定した10の質問が含まれています。
  • 外部監査人 - 外部監査人との議論を想定した10の質問も含まれています。

重要な判断と会計方針の選択

付属資料には、IFRS第17号の適用に関連する重要な判断及び会計方針の選択に関する考慮事項、また、この領域に関する経営者のための詳細な質問が含まれています。

詳細について

監査委員会のメンバーであり、まだ着手できていないのであれば、いよいよ取組む時が来ました。
保険会社の経営者及び取締役はGPPCガイダンスの本紙(英語PDF:210kb)付属資料(英語PDF:329kb)の両方を読み、IFRS第17号適用プロジェクトにおいてどのように考慮するか検討することをお勧めします。また、クイックガイド(PDF:433kb)はダウンロードすることができます。
基準の概要については、IFRS - 保険契約のホットトピックページをご覧ください。また、新しい基準に関する実施上の課題への対処方法に関する最新の情報については、IFRS 17への移行ページをご覧ください。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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