決済の未来に関する10の予想 - 決済業界はいかにして先進性を保つか

決済業界の未来の見解をバンキング、テクノロジー、フィンテックなど11人のグローバルの専門家に尋ね、10の予想としてまとめました。

決済業界の未来の見解をバンキング、テクノロジー、フィンテックなど11人のグローバルの専門家に尋ね、10の予想としてまとめました。

未来に向けて

テクノロジーの進展がイノベーションにおける段階的な変化を導いたことで、決済サービスはより便利になりました。大手テクノロジー企業から自動車メーカーまで、従来の決済サービス以外の企業が市場参入したことで、かつてないほど決済サービスは現実経済に組み込まれています。一方で、規制当局はこのような状況の変化に規制の適用を検討しています。

決済業界はいかにして先進性を保つか

2030年の決済の世界がどうなっているのか、11人の産業リーダーに5つの重要項目(政策および規制、経済、社会、テクノロジー、オペレーション)について尋ね、10の予想としてまとめました。

インタビューを受けた11人は、多くの重要領域で異なる見解を持っていましたが、1点については全員が同意見でした。それは決済における変化はまだ始まったばかりであり、今後の変革のスピードに対応する機敏さを欠いた組織は取り残されるリスクがあるという点でした。

政策および規制:決済が主役に

1. 各国政府は経済政策のコントロールを維持するために、自分たちのデジタル通貨を発行する。
2. 規制当局はプロバイダーよりも決済プロセスを取り締まるようになる。

経済政策のコントロール目的で中国以外にもデジタル通貨発行国の増加が予想されます。それらの政府は自国のデジタル通貨の優位性を強調し、また他国通貨と競争することになるでしょう。
銀行業や金融サービス機関以外のプレーヤーが参入する状況では、従来の金融機関中心の規制システムは合わず、監督機関はプロバイダーより決済プロセスを取り締まることが予想されます。

決済をめぐるエコノミクスはどう変化するか

3. 決済のバリューチェーンはデータを基盤に構築される。
4. データプライバシーについての国際的コンセンサスが確立される。

今後はデータを効果的に活用できる組織が競争優位性を確保するでしょう。決済セクターにおいてはデータアナリティクスツールと人工知能(AI)が最重要ツールになることを意味し、この分野のスキルが高く評価されるでしょう。
消費者が自己データの共有に同意する場面が増すにつれ、データ保護法とデータプライバシー法への各国間のさらなる整合性が確立されることが不可欠です。

ソーシャルネットワークへ

5. 世界市民としてほぼすべての人が、生体認証により可能となる自分のデジタルIDを持つようになる。
6. 決済テクノロジーは金融排除の解消を促す。
7. ソーシャル体験は決済テクノロジーと合流する。

国ごとに決済システムに大きな摩擦がある状況は、各国政府と決済プロバイダーが協力し、生体認証(顔認証、指紋認証、インプラント認証)の活用により、国際的合意を得たデジタルID基準の確立で消失すると予想されます。
広範な決済や金融サービスにアクセスできずにいる人々にとって、デジタルIDは給付金の支払いからバンキングまでのサービスを解き放ち、また信用履歴の構築が可能になる黄金の鍵となるでしょう。
ソーシャルメディアと決済サービスの収れんは、決済サービスのプロバイダーとその顧客に新たなチャンスを創出することでしょう。

未来のテクノロジー

8. 分散型台帳技術は、グローバルに接続された高速決済ネットワークの基盤となる。
9. クロスボーダー取引でさえもリアルタイム決済が当たり前となる。

銀行や銀行に近いセクターの民間組織が運営するブロックチェーンを通じて、多くの決済が行われるようになります。分散型台帳技術は、未来の決済システムを提供する主要な手段となる可能性があります。
分散型台帳技術登場の最大の成果は、リアルタイム決済が標準装備のコモディティとなることです。ブロックチェーンではクロスボーダー決済でさえ即時に行われるようになるでしょう。

オペレーションモデルはパートナーシップを基盤に構築される

10. 決済のエコシステムは、新規参入企業と既存企業との連携により進化する。

決済はシステミックリスク源となる可能性があるため、新規参入企業は既存のバンキングパートナーと協力する必要があります。新規参入企業が既存プロバイダーおよび規制当局と協力し、決済システムをゼロから創り上げた新興市場での経験は、グローバルな規模で再現されると予想されます。そして、その連携がなければ、変革は不可能となります。

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