真のパーソナライゼーション

真のパーソナライゼーション

表層的パーソナライゼーションを超え、顧客の日々の生活に深く入り込むようなパーソナライゼーションを実現する銀行こそが、将来の優位性を獲得します。

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マス・パーソナライゼーションの世界では、銀行は顧客のことをよく知っていると、顧客に確信させるかどうかがカギになります。新たなツールやテクノロジーによってこれまでにないカスタマイズが可能になり、新しいセグメント化のアプローチが標的を絞りやすくしています。たとえばバンキングチャネルに入る際に顧客の名前を表示したり、誕生日にグリーティングカードを送ったりするなど、自動化とデジタルテクノロジーが「パーソナルな体験」を創出しています。

しかし、私たちの見解では、このような現レベルのパーソナライゼーションは、表層的パーソナライゼーションにすぎません。今後ははるか深部にまで入り込める銀行が優位性を獲得します。個人として尊重され大切にされたと、顧客に感じさせる方法を知っている銀行です。これらの銀行は、これまでの顧客とのかかわりで獲得した熟知性を利用して、顧客に意義ある体験を提供するでしょう。口座の詳細や人口統計といった情報以上のもの、まさしく顧客の心を動かすものを理解するようになるでしょう。

顧客をいっそう理解する

個人的生活に入り込む銀行の能力を顧客が高く評価するということは、すでに明白な事実となっています。KPMGインタ - ナショナルが27万5,000人以上の顧客を対象に最近実施した調査では、パーソナライズされた体験を提供する企業の能力が、ブランドへのロイヤルティに直接関係するというはっきりとした証拠が示されました※1 。卓越したパーソナライゼーションのケイパビリティを持つ銀行を、顧客は常に最善の銀行と評価していました。

調査で高い評価を得ていた銀行は、パーソナライゼーションが既存顧客への売上を伸ばすだけのものではないということを理解していました。顧客との関係を構築し、顧客の人生の中に深く入り込む必要があるのです。自行の顧客が必要とするものを知り、顧客が抱える問題を(しばしば、顧客が問題を抱えていることに気づく前に)解決する方法を見つけることが重要です。顧客とのやり取りが商品や規定のサービスの販売につながるか否かにかかわらず、銀行は顧客のために寄り添っていなければなりません。

※1 Customer First. Customer Obsessed. KPMG International, 2019

 

人生の問題を解決する

優れた一握りの銀行が顧客の「ライフイベント」や「ライフステージ」の把握に重点を置き始めているのは、そのような理由からです。たとえばある場合には、新しい車や住居を購入する、子どもが生まれる、新しい仕事を始めるなどのイベント、あるいは引退生活に入る等のライフステージが考えられます。

このことを真剣に考えてみると、金融サービスは人間が個人として望むすべてを支えるのだということがわかります。ライフイベントやライフステージは、さまざまな課題、チャンス、金融ニーズをもたらします。今後最も成功するのは、これらのライフイベントを予想し、個々の顧客への深い理解を示すようなソリューションを提供できる銀行であり、依然として人口統計上のセグメントに闇雲に商品を販売しているような銀行ではありません。

テクノロジーが悪いのではない

それでは、銀行が真のパーソナライゼーションを大規模に達成することを阻んでいるのは何でしょうか。多くの銀行幹部は、自組織のデータが分断されていることとレガシーシステムのせいで、顧客の全体像を捉えることができないと語るでしょう。そしてそのことが、真のパーソナライゼーションの実現を阻んでいるというのです。

レガシーシステムとデータは、確かにパーソナライゼーションを阻む要因となりえますが、必ずしも障壁とはならないことを示す強力な証拠があります。たとえば、一部の新形態の銀行は、親会社のレガシーシステムを使用しているにもかかわらず、顧客を集めてパーソナライズされた体験を提供しています(英国のチャレンジャーバンクであるFirst Directは、親会社であるHSBCとほぼ同じ技術基盤を使用していますが、しばしば親会社を凌ぐ最高クラスの評価を受けています)。

顧客第一主義

銀行がパーソナライゼーションの実現に向けて実際に進むのを阻んでいるのは、大抵の場合、(レガシーシステムならぬ)レガシー文化であるというのが私たちの見解です。大半の銀行は、いまだ商品とサービスを中心に緊密に構成されているというのが実情です。ほとんどの銀行では、意思決定の最大の推進役は商品チームであり、顧客チームではありません。このせいで銀行は、顧客の真の全体像を捉えることがほぼ不可能になっています。

顧客を中心に組織を再編成するには、リーダーシップが必要です。組織の文化と構造に劇的な変化が必要となるでしょう。銀行は、顧客視点を強化するのはどの活動で、しないのはどの活動かを慎重に考える必要があります。これは組織内のパワーバランスを変えることを意味する場合もあります。たとえば、私たちは最近ある銀行と仕事をしましたが、何度も見てきたように、この銀行でもコンプライアンス部門がパーソナライゼーションの改善を遅らせていました。そこで、銀行がコンプライアンス部門を最高顧客責任者の下におくと、同行の顧客体験スコアにかつてない劇的な改善が見られたのです(コンプライアンス上のリスクが増加することはありませんでした)。

しかし、顧客の全体像を捉えるには、大きな意欲とより適切な組織構造だけでは不十分です。たとえば、新たなシグナルを見つけるためのデータマイニングや、訴求力とデータリーチを拡大できるテクノロジー企業との提携など、自行の顧客を理解するのにさまざまなアプローチを取る必要もあります。KPMGインターナショナルによる最近の論文は、規制のもとでのオープンデータやオープンバンキングへの移行は、銀行が顧客をもっとよく知る上で大きなチャンスをもたらすだろうと示唆しています。

銀行はまた、明らかにしたデータをもっとうまく利用して、顧客の状況やライフイベントを真に理解できるようになる必要があります。それには、顧客のニーズと要望が進化するにつれて商品およびソリューションを迅速に変えて適応させられるように、データに関するより機敏性のあるプラットフォームやよりよいアナリティクス、よりよいコラボレーションが必要となるでしょう。

金融サービスを超えて

おそらく最も重要なのは、顧客の人生において銀行が果たすべき役割について銀行幹部がもっと包括的に考える必要があるということです。顧客が最善の人生をおくれるよう支援するために、銀行のインサイト、ケイパビリティ、知識をどのように使うことができるでしょうか。顧客の人生でどの商品やサービスが必要となるかを予想できるでしょうか。顧客独自のライフイベントを適切に理解するのに十分な顧客理解を有しているでしょうか。

優れた銀行はすでにこれらの問いに答えを出し、まったく異なる種類のパーソナライゼーションに向けて明らかな前進を遂げています。米国を拠点とする金融サービス企業のUSAAは、自社の顧客(大半は米国軍人とその家族)が新車の購入に時間がかかりすぎることに不満を持っていると気づいたとき、このプロセスを迅速に済ませることに重点を置いたサービス分野全体を開発しました。

ある英国拠点の銀行は、顧客がコンピューター・リテラシーを高められる講座を提供していますが、これがデジタルエンゲージメントの改善に役立っています。新興国の一部の銀行は消費財の販売を始めており、そうすることでこれらの銀行は、顧客の悩みを解決し、保険やローンなどの関連商品を提供できるようになりました。

真のパーソナライゼーション

重要なことは、コミュニケーション・チャネルをパーソナライズすることと顧客の個人的生活に入り込むこととの差は大きいということです。前者は表層的なパーソナライゼーションにすぎず、後者は銀行のオペレーションの根本的変革を必要とします。

今後最も成功する銀行(実際には、現在最も成功している銀行)は、顧客との間に本物のパーソナルな関係を創出するために投資している銀行だというのが、私たちの見解です。

バンキング体験の再構築の動向について、詳しくはkpmg.com/reshapebankingを訪問ください。

銀行がどのようにして優れた顧客体験を実現しているかについて、詳しくはKPMGの最近のレポート「Customer Experience Excellence(英語)」のPDF P.44 Investing into relationshipsをお読みください。

英語コンテンツ(原文)

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