IFRS第17号「保険契約」の修正アプローチの明確化
2019年11月のIASB会議において、IFRS第17号「保険契約」の修正を最終化するためのプロセスが確認されました。
2019年11月のIASB会議において、IFRS第17号「保険契約」の修正を最終化するためのプロセスが確認されました。
ハイライト
- 11月のIASBボード会議で再審議の計画が決定された。
- 一部追加の論点が検討される予定である。
- 次のステップ - 2020年2月までに、全ての論点に関する検討を終える予定である。
我々は、新しい保険契約会計基準(IFRS第17号)の修正提案に関する利害関係者からのフィードバックについて、どのような観点において今後数カ月にわたり審議されるかを既に把握している。
11月のIASBボード会議において、国際会計基準審議会(以下、IASBという)はIFRS第17号の修正に関する公開草案のフィードバックを見直し、再審議の計画を策定した。
再審議の計画は下記の通り、4つのカテゴリーに分けられている。
- 将来のIASB会議で承認されるIFRS第17号の修正提案:これらの修正提案は、公開草案に記載の内容で、後日IASBにより承認される。
- 将来のIASB会議における検討範囲から除外された論点:これらは、公開草案で修正が提案されていない領域に関して利害関係者がコメントした論点である。
- IASBの更なる検討を要する論点:対象になる論点は公開草案で修正が提案されていたものも、提案されていないものも含む。
- IASBが対処する可能性のある新しい論点:これらは利害関係者よりコメントが寄せられたものの、IASBが当初公開草案を作成する際に検討していなかった論点である。IASBスタッフは、IASBが、これらの論点に対処するために何等か行動すべきか否かを決定する前に、これらの論点を分析する予定である。
更なる検討を要する論点については、IASBは次の3回のボード会議において、修正するか否かを決定する方針である。
IASBは論点を再審議するにあたり、公開草案作成時に定められた要件を同様に適用するつもりである。当該要件は、IFRS第17号の修正によって、以下のような状況が生じないようにすることを意図している。
- IFRS第17号の基本原則を修正しないこと。基本原則が修正されれば、財務諸表利用者にとって、有用な情報が著しく損なわれることになる
- 既に進行している適用に向けた準備を不当に中断すること
- IFRS第17号の適用日が更に延期されること
我々は最終基準書で変更されない領域についてIASBから確認が取れている。IASBが変更の可能性のある領域について作業を進めている間に、保険者は、これらの領域に注力して適用計画を進展させる時である。あまり明確でない基準の領域については、保険者は適用計画の調整に対処できるように、柔軟性のある対応をしなければならない。
Mary Trussell
KPMG’s Global Lead, Insurance Accounting
再審議計画のアウトライン
変更が予定されていない論点は以下の通り。
カテゴリー | 論点 |
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将来のIASB会議で承認されるIFRS第17号の修正提案 |
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将来のIASB会議における検討範囲から除外された論点 |
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次の3回のIASB会議で、再審議が生じ得ると考える論点は以下の通り。
IASBの更なる検討を要する論点 |
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IASBが対処する可能性のある新しい論点 |
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次のステップ
IASBは、今後3回のボード会議(2020年2月まで)において、公開草案の修正案を確認し、更なる検討が必要な論点について審議する予定である。IASBの目標は引き続き、2020年中頃にIFRS第17号の最終修正を公表することとされている。