会計・監査ダイジェスト 会計及び監査を巡る動向 2019年10月号

会計・監査ダイジェストは、日本基準、国際基準、修正国際基準及び米国基準の会計及び監査の主な動向についての概要を記載したものです。

会計・監査ダイジェストは、日本基準、国際基準、修正国際基準及び米国基準の会計及び監査の主な動向についての概要を記載したものです。

1.日本基準

法令等の改正

【法律案の国会提出】
法務省、「会社法の一部を改正する法律案」等を国会提出


法務省は2019年10月18日、「会社法の一部を改正する法律案」及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を、閣議決定を経て第200回国会に提出した。
「会社法の一部を改正する法律案」は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講ずる必要があること、「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の規定の整備等を行う必要があることから、それぞれ国会に提出されたものである。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年10月23日発行)

会計基準等の公表(企業会計基準委員会(ASBJ))

【公開草案】
ASBJ、公開草案「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号の改正案)」及び公開草案「収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号の改正案)」を公表


ASBJは2019年10月30日、公開草案「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号の改正案)」及び公開草案「収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号の改正案)」を公表した。2018年に公表された「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下、「2018年会計基準」)においては、注記について、2018年会計基準を早期適用する場合の必要最低限の注記のみを定め、2018年会計基準が適用される時(2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)までに、注記事項の定めを検討することとしていた。また、収益認識の表示に関する次の事項についても同様に、財務諸表作成者の準備期間を考慮したうえで、2018年会計基準が適用される時までに検討することとしていた。

  • 収益の表示科目
  • 収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)の区分表示の要否
  • 契約資産と債権の区分表示の要否

本公開草案は、上記の暫定的な取扱いに対して、以下の修正を提案している。

  1. 表示に関する要求事項の追加
  2. 注記に関する要求事項の追加
  3. 契約資産の性質に係る取扱いの見直し

コメントの締切りは2020年1月10日である。

2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することが提案されている。
早期適用としては、2020年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの適用、及び、2020年4月1日に終了する連結会計年度及び事業年度から2021年3月30日に終了する連結会計年度及び事業年度までにおける年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表からの適用を認めることが提案されている。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年11月7日発行)
 

ASBJ、企業会計基準公開草案第69号(企業会計基準第24号の改正案)「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(案)」を公表


ASBJは2019年10月30日、企業会計基準公開草案第69号(企業会計基準第24号の改正案)「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(案)」(以下、「本公開草案」)を公表した。本公開草案の主な内容は次のとおりである。

  • 関連する会計基準等の定めが明らかでない場合であっても、採用した会計処理の原則及び手続の概要を開示する必要がある旨を明確化することが提案されている。

コメントの締切りは2020年1月10日である。本公開草案では、2021年3月31日以後終了する事業年度における財務諸表から適用することが提案されている(早期適用可)。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年11月7日発行)

ASBJ、企業会計基準公開草案第68号「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」を公表


ASBJは2019年10月30日、企業会計基準公開草案第68号「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」(以下、「本公開草案」)を公表した。
本公開草案では、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性が高い項目を識別し、識別した項目ごとに会計上の見積りの内容について以下の事項を注記することが提案されている。

  • 項目名
  • 当年度の財務諸表に計上した金額
  • 会計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

コメントの締切りは2020年1月10日である。本公開草案では、2021年3月31日以後終了する事業年度における財務諸表から適用することが提案されている(早期適用可)。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年11月7日発行)

監査関連

【公開草案】
金融庁、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)等を公表


金融庁は2019年10月30日、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(案)」等(以下、「本改正府令(案)」)を公表した。本改正府令(案)は2019年1月の「会計監査についての情報提供の充実に関する懇談会」による報告書や2018年7月及び2019年9月における監査基準、中間監査基準及び四半期レビュー基準でなされた報告書の記載区分等、継続企業の前提及び無限定適正意見以外の場合の報告書の記載に関する事項に関する改訂を踏まえて公表された。

本改正府令(案)では、「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」、「企業内容等の開示に関する内閣府令」及び「『財務諸表等の監査証明に関する内閣府令』の取扱いに関する留意事項について(監査証明府令ガイドライン)」について改正することが提案されている。

「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(案)では、主に以下について、監査基準、中間監査基準及び四半期レビュー基準の改正が提案されている。

  • 報告書の記載区分等や継続企業の前提に関する記載
  • 意見又は結論の根拠の記載
  • 中間監査概要書及び四半期レビュー概要書の様式

また、「企業内容等の開示に関する内閣府令」(案)では、監査人の異動の日の前3年以内に作成された監査報告書、中間監査報告書又は四半期レビュー報告書において限定付適正意見又は限定付結論が表明されている場合には、当該意見又は結論の理由を監査人交代に関する臨時報告書において記載することが提案されている。

コメントの締切りは2019年11月28日である。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年11月1日発行)

法務省、監査基準の改訂に対応した会社計算規則の一部を改正する省令案を公表


法務省は2019年10月31日、会社計算規則の一部を改正する省令案(以下、「本省令案」)を公表した。本省令案は、2018年7月及び2019年9月に実施された監査基準の改訂に対応し、会計監査報告の内容について所要の整備を行うために公表された。

具体的には、会社計算規則に則った会計監査人の会計監査報告の内容について、監査基準の改訂でなされた、継続企業の前提及び無限定適正意見以外の場合の報告書の記載に関する事項に関する改正が提案されている。

コメントの締切りは2019年11月29日である。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年11月1日発行)

【その他】
金融庁、「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」を公表


金融庁は2019年10月25日、「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」(以下、「本調査報告」)を公表した。本調査報告は、2017年の第一次報告に続き、「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言を受けて作成されている。

本調査報告では、我が国におけるパートナーローテーションや監査法人の交代に関する実態調査の結果や海外における監査法人のローテーション制度等に関する動向がまとめられている。また、今後の検討に当たり、監査法人のローテーション制度に限らず、より幅広く監査市場の在り方についての分析・検討を行う必要があるとされている。
本調査報告を受け、日本公認会計士協会から監査人の独立性強化に向けた会長声明が発出されており、社会的影響度が特に高い会社の監査業務にあたっては、2018年4月に改正した「独立性に関する指針」(2020年4月1日以後開始する事業年度より適用)の趣旨を理解した上で、確実に遵守することが要請されている。

あずさ監査法人の関連資料:ポイント解説速報(2019年10月29日発行)

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2.国際基準

新たな基準・公開草案等の公表として、今月、特にお知らせする事項はありません。

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3.修正国際基準

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4.米国基準

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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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