「社員を守る」周知・実行を

「社員を守る」周知・実行を

「レジリエンスを高める」第8回 - 有事に社員のモチベーションを高めることが早期の経営復旧につながる。経営者の想像以上の意味を持ち得るトップメッセージについて具体例を挙げながら解説する。

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有事の際、経営者がまず行うべきなのは、会社全体の対応方針をトップメッセージとして全社に発信することである。有事においては、経営者に限らず現場の社員が手にする情報も大幅に不足するため、大きな不安やストレスを抱えながら業務に従事することとなる。社員が暗中模索する中で、経営者のメッセージはどのように行動すべきかを指し示す光となる。それは経営者が想像する以上に社員にとって大きな意味を持つ。
また経営者は、対応方針にとどまらず、会社が直面している状況についても、一般社員を含む関係者間で共有しなくてはならない。危機対応の進展によっては状況も変わり、危機対応の全体像も変化するため、それらについても随時遅滞なく共有する必要がある。

さらに、地震や洪水、台風などの自然災害においては、寝食を含め社員の基本的な生活インフラが破壊されることも想定される。そうした被害を受けた社員は、そのほとんどが非常に大きな精神的・身体的疲弊に見舞われることは想像に難くない。会社は社屋の提供などを通して、社員とその家族が当面の最低限の生活を営むことができるよう最大限配慮すべきである。
また、被災した社員の資金繰りが一時的に悪化する可能性があることも考慮して、見舞金を提供することも社員にとっては大きな助けとなる。これらは過去において実際に国内で大地震が発生した際、複数の日系企業で実施された。結果として社員のモチベーションが維持されて復旧活動も順調に進み、震災による被害を最小限に抑えられたケースが多々報告されている。

そして、有事において経営者にとって何より重要なことは、経営者が「何があっても従業員は守る」といったメッセージを可能な限り迅速に発信し、行動に移すことである。
熊本地震の際に、被災地域に本社を構えるある企業の社長は、地震発生から数日後に可能な限り社員を本社社屋に集め、「社員の生活は必ず守る。だから営業活動の再開に協力してほしい」という趣旨のメッセージを伝えた。その上で寮や災害見舞金を提供した結果、社員は安心して復旧活動に従事できたという。
有事の際、スムーズに復旧活動を行うためにも、このようなトップメッセージの発信は平時から準備しておく必要がある。例えば、有事に会社としてどのように対応するかを示した方針・ポリシーを事前に策定し、経営陣だけでなく従業員へも周知することが重要である。

社員へのメッセージとその効果

経営者から発信するメッセージ例 社員に与える効果
  • 社員とその家族の生活を守るよう最大限努力する
  • 社員の給料を支払い続けるために営業を継続する必要があり、社員の協力が不可欠である
  • 被災した社員のため、社屋を提供する
  • 災害補償金として、見舞金を提供する
  • 被災社員の健康的な生活が実現でき、当面の生活に必要な物資をそろえることができた
  • 社員の会社へのロイヤルティやモチベーションが上がった

日経産業新聞 2017年11月16日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

執筆者

KPMGコンサルティング
シニアコンサルタント 岩田 啓

レジリエンスを高める

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