リースの定義:意思決定権(IFRS第16号に関連) - IFRICニュース2020年1月

IFRS解釈指針委員会ニュース(2020年1月) - 「リースの定義:意思決定権(IFRS第16号に関連)」については、2020年1月のIFRS-IC会議で審議された内容に更新しています。

「リースの定義:意思決定権(IFRS第16号に関連)」については、2020年1月のIFRS-IC会議で審議された内容に更新して

関連IFRS

IFRS第16号「リース」

概要

以下の前提において、海上輸送契約の契約期間を通じ、顧客は船舶の使用を指図する権利を有するか。

  • 船舶はIFRS第16号における「特定された資産」として識別されている(IFRS第16号B13-B20項)。
  • 顧客は、契約期間にわたり船舶の使用から得られる経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有する(IFRS第16号B21-B23項)。
  • 船舶の使用方法及び使用目的に関連する事項は、その多くが契約で事前に決定されているが、事前に決定されていない事項については、使用期間を通じ顧客が意思決定権を有する。顧客に与えられた意思決定権は、船舶の使用を通じた経済的便益の享受に影響するため、「関連性のある」意思決定権であると判断されている。
  • 使用期間中、サプライヤーは船舶の運航及び保守を請け負う。

ステータス

IFRS-ICの暫定的決定

IFRS-ICは、2020年1月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IFRS第16号B24項は、顧客が使用期間を通じて特定された資産の使用を指示する権利を有するとは、どのような場合を指すかについて規定している。資産を稼働させる権利を誰が保有しているか、もしくは、資産を設計したのは誰か、に着目するB24項(b)は、資産の使用方法及び使用目的が事前に決定されている場合にのみ適用される。BC121項は、「事前に決定されている場合」は比較的少ないとIASBが考えていたことを示している。従って前提条件に基づくケースにおいては、B24項(b)ではなくB24項(a)を適用して船舶の使用を指示する権利を顧客が有しているか判定することとなる。
  • B24項(a)は、顧客が使用期間にわたり資産の使用を指示する権利を有するのは、その資産の使用方法及び使用目的を決定できる場合であると定めている。そのためには、契約で定められた使用権の範囲内において、顧客は使用期間を通じ資産の使用方法及び使用目的を変更できなければならない。従って企業は、使用方法及び使用目的の変更に最も関連性のある意思決定権を検討する。「関連性がある」かどうかは、資産の使用から生じる経済的便益に影響があるかどうかで判断する。資産の運航や保守に限定される権利は、関連性がある意思決定には該当しない。
  • 前提条件に基づくと、船舶の使用方法及び使用目的を指図する権利は、顧客が契約に定められた使用期間にわたり有している。顧客は船舶の使用から生じる経済的便益に影響を与える船の使用方法について決定する権利を有している。従って顧客は、契約に定められた範囲において、使用方法及び使用目的を変更できる。船舶の使用方法及び使用目的に関連する事項は多くが契約で事前に決定されているが、そのことは、船舶の使用方法及び使用目的について顧客が意思決定する範囲を定めているに過ぎない。この範囲内においては、顧客は船舶の使用方法及び使用目的について最も関連性のある意思決定権を有している。
  • 船舶の運用及び保守は、船舶の効率的な運航のために重要であるが、これらについての決定権をサプライヤーが掌握していることは、船舶の使用方法及び使用目的についての決定権をサプライヤーに与えるものではない。

IFRS-ICは、2019年9月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の原則及び要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

お問合せ