契約を履行するためのトレーニング費用(IFRS第15号に関連) - IFRICニュース2020年3月 - アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2020年3月) - 「契約を履行するためのトレーニング費用(IFRS第15号に関連)」については、2020年3月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

「契約を履行するためのトレーニング費用(IFRS第15号に関連)」については、2020年3月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

関連IFRS

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

概要

以下の前提において、企業が契約における履行義務を充足するために発生したトレーニング費用を、資産として認識すべきか。

  • 企業は顧客にアウトソースされたサービスを提供する契約を締結する。この契約にはIFRS第15号が適用される。
  • 顧客に対するサービス提供のためには、顧客の商品やプロセスを理解させるためのトレーニングを従業員に対して実施する必要があり、支出が発生する。ただしトレーニングを受けた従業員はその後自己都合退職する可能性もあるため、トレーニングから生じる将来の期待経済便益に対する企業の支配は不十分であり、トレーニング費用は無形資産の要件に該当しない(IAS第38号第15項)。また、このトレーニングの実施は、IFRS第15号の履行義務に該当しない。
  • 契約に基づき、企業は、トレーニングの実施に必要な費用を顧客に請求できる。ただし、請求できる範囲は、契約開始時に企業に在籍する者および顧客の事業の拡大に対応するため追加で企業に雇用された者を対象として行われたトレーニングに限られる。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2020年3月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IFRS第15号第95項に基づき契約履行コストとして資産計上される支出は、他のIFRSの基準の範囲に含まれないものに限定される。
  • IAS第38号第2項から第7項によれば、IAS第38号は、トレーニングに関する支出にも適用される。したがって、上記の前提においては、企業は契約の履行のために発生したトレーニングのための支出について、IAS第38号を適用する。
  • IAS第38号第69項(b)は、トレーニングのための支出を、企業に将来の経済便益を生じさせるが、BS上に認識できるような資産(無形資産や他の資産)を取得・創出しない支出として例示している。従ってこのような支出は発生時に費用として認識される。IAS第38号第15項によれば、トレーニングを受けた従業員から生じると見込まれる将来の経済的便益について、無形資産の定義に該当するほど十分な支配を、企業は通常有していない。
  • IFRS第15号BC307項は、他の基準で資産として認識することを除外している場合、当該特定の費目についてIFRS第15号においても資産を認識することは認められないとしている。
  • 以上より、本件照会の対象となったトレーニング費用は発生時に費用認識されるとIFRS-ICは結論した。トレーニングに要したコストを顧客に請求できるかどうかがこの結論に影響を与えることはない。

IFRS-ICは、2020年3月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の原則及び要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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