世界のLNGが持続可能な代替燃料になるまでの道のり-2019 Global Energy Conference

世界のLNGが持続可能な代替燃料になるまでの道のり-2019 Global Energy Conference

今日のエネルギー需要を満たすだけでなく、将来の再生エネルギー社会への移行のために、世界各国は天然ガスを求め続けるでしょう。そのため、グローバルLNG市場への参加者は、今後も継続的に需給ダイナミクスに対応していく必要があります。

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発光するエネルギー

押し寄せるFID(最終投資決定)の波

「世界的にLNGがここまで大きな存在になることを、10年前に誰が予想しただろうか。」 モデレーターを務めるKPMGジャパン エネルギー・インフラストラクチャー責任者兼エネルギー・天然資源担当アジア太平洋地域責任者のマネージング・ディレクター、関口美奈がセッションの口火を切った。

まず、関口は2018年のLNG取引量が約3.2億トンに拡大したことを指摘した。従来非常に限定的であったLNG市場は、今では20の輸出国と40以上の輸入国から成る市場へと成長した。ヘンリーハブをベース価格とし、仕向け地に縛りのないLNGを輸出する米国の出現により、これまで断片的であった市場が収束し始めている。「今、非常に興味深い動きが世界のLNG市場で起こっている」と関口は述べた。

「この動きの1つに、現在の市況に逆行する形でプロジェクト開発が進められていることが挙げられる。」 Wood Mackenzie社北南米ガスリサーチ責任者のKristy Kramer氏も関口に呼応した。2016~2017年以降、プロジェクトがFIDに達することは稀であったにもかかわらず、かなり長く供給過剰が続き、スポット価格も比較的低水準な状況の現在、多くのプロジェクトがFIDを迎えようとしているのだ。「裏を返せば、現在のように供給過剰の状況が長く続いた後には、市場がタイトになることが予測される。そして、この傾向は昨年から徐々に勢いを増している」

要求する買い手、差別化する売り手

Kramer氏によれば、「昨今、いくつかのプロジェクトで差別化要素が散見されるようになった。そして、この大半は米国の契約だ。なぜなら、非常に多くのプロジェクトがFIDを迎え、彼らはこれらのプロジェクトから生産されるLNGに買い手を付けようとしているからだ」という。コスト面で差別化する事業者もいれば、開発事業者の評判を売りにしたり、コモディティリスクやクロスボーダーリスク等のリスクシェアをアピールする事業者もいる。

また、「現在、LNG市場はデマンドプルというより、むしろサプライプッシュの状態にあり、要求の多い需要家が増加している」と、現在1,500万トン分の輸出可能なLNGを開発中で、間もなく竣工を迎える(カンファレンス開催時点)Freeport LNG社事業開発部副社長のLance Goodwin氏がコメントした。Goodwin氏によれば、この状況に対し、他事業者との差別化を図るなかで、「限度を超えてプロジェクトファイナンスを実施する事業者がおり、これは特に米国に多く見られる」という。さらに、「このような事業者の一部には、バランスシートが強いわけではないにもかかわらず、スーパーメジャーを真似て次々とプロジェクトを開発し、実績等の検証・確認やEPCスケジュールの保証もなしに、資金調達を試みる事業者もいる」という。彼は、このようなプロジェクトが最終的に失敗に終わった場合、「将来のプロジェクト融資に影響が及ぶ可能性がある」と付け加えた。

中国における需要、日本に求められる柔軟性

グローバルLNG市場全体の成長のうち、中国のLNG需要成長はおおむね1/4~1/2を占める予測である。ここで、JERAの常務取締役である佐藤裕紀氏は、「米中貿易摩擦が中国向けLNG輸出に大きく影響することはない」と述べた。すでにポートフォリオプレーヤーの数社は米国産カーゴを中国向けに輸送しており、これらは簡単にスワップできるからだ。さらに、中国政府は、米国産の資源に25%の関税を課したものの、実際に輸入を行った場合、罰金を支払うのは中国国営企業であり、受け取るのは中国政府である。この点について佐藤氏は、「結局、政府が政府自身に対して税金を支払うのだから、経済的な影響は何もない」と説明した。

また、佐藤氏は自身の母国である日本について、佐藤氏は、「福島第一原発事故後の原発再稼働を含むさまざまな不確実性に対して、柔軟性を持たせるようなポートフォリオを維持する必要がある」と述べた。なお、現在日本の契約済LNG量は、予測されている需要量に対して超過の状態にある。

グローバルLNGにとっての欧州な重要な役割

Centrica社 エネルギーマーケティング&トレーディング部共同マネージング・ディレクターのJonathanWestby氏によれば、「LNGにおける欧州の役割が過小評価されている」という。「欧州の存在は、グローバルLNGのエコシステムにとって非常に重要である。私は、欧州を、世界のガス市場のために、多くの難しい仕事を担うエンジンルームとみなしている」とWestby氏は続けた。欧州には、年間取引量が約5,000億m3に上る大規模なガス市場がある。しかしながら、その域内生産量は減少の一途を辿っており、ロシアからの「古典的なパイプラインガスの輸入を避ける」ために、LNGも取り込み、国際的な調達先の分散化を図ることが求められている。欧州市場は、供給側における価格、事象やその他変化に応じて需要量を調整する柔軟性を備えており、「この柔軟性がグローバルLNGシステムに安定を与えている」とWestby氏は強調する。最後に彼は、「LNGが、欧州のガス市場に対し、より自然な価格指標のもと値付けされるよう市場が進化することを期待している。これが実現すれば、LNGの可能性が一気に広がるだろう」と締めくくった。

英語コンテンツ(原文)

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