データが支配するビジネス

データが支配するビジネス

「小売りの明日」第2回 - 購買データと来店データ、またウェブサイトやSNSの閲覧履歴をAIに分析させることで、顧客自身も気づかない課題の発見が可能となる一方、ブランド毀損にもつながりかねないデータリスク管理とガバナンスについて考察する。

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「データを制する者がビジネスを制す」という認識が浸透してきている今だからこそ、「なぜデータを活用するのか」ということと「どのようにデータのリスク管理をするのか」ということを改めて確認することが重要になっている。データの活用は消費者と企業の双方の課題を解決するためにあるが、消費者の課題とは表に表れているものだけでなく、本人も認識していない潜在的な課題も含まれる。デジタルシフトにより今まででは得られなかったデータを使うことで課題を発見し、それを解決することで、顧客の利便性と満足度を向上させるのが目的だ。

位置情報を生かしたスマートフォンやビーコン(電波受発信機)、顔認証システム、アプリの展開などによって、今までは得られなかった来店データを手に入れることができる。例えば、家電や家具など高価格帯の商品は来店した人が、そのまま購入するとは限らない。来店したが購入はしていない顧客層についてデータを取得することで、どの売場により多くの顧客が訪れているのかを、その動線も含めて把握することができる。
大手ディスカウントストアは端末付きカートを導入し、会員カードを端末に読み込ませ、商品のバーコードをスキャンしていくことでレジでの会計を不要にした。そこで得られた購買データと店内のカメラが捉えた顧客の行動データを紐づけることにより、顧客個人のニーズへの対応を強化している。
店舗の外の行動に関しては、顧客のエリア分布や来店頻度、アプリの起動時間や場所を把握する。あるショッピングセンターでは雨の日に店舗周辺1Km圏内にいる会員に対して午後6時に来店特典の情報を発信すると、来店率がどの程度高まったのかの検証を実施しているという。

過去の購買データと来店データ、天候、気温、店頭の通過客数等のデータを、人工知能(AI)によって分析することで需要予測を可能にし、どのような売り場構成や人員配置が最適かを導き出せる。ウェブサイトやSNSの閲覧履歴、店舗や商品がどのように評価されているかなどをAIが、競合店との比較などを含めて幅広に分析する。
これらのデータ活用の際には消費者自身さえも気づいていない課題を探すという仮説が必要で、従来の常識にとらわれない姿勢があってこそ、得られたデータを有用に活用できるのである。

ビッグデータの活用の際に表裏一体となっているのが、データのリスク管理とガバナンスだ。データの種類が増えれば当然ながら、リスクは増大する。データの利・活用とガバナンスの両軸を並行して整備しなくては、データに関する問題が発生した際にブランドを大きく毀損することになる。
データを見て仮説を立て、対策を打ち出す。そして、そのデータが適正に扱われるような統制ルールを作ることこそが、流通業に関わる人の役割であり価値となる。その価値こそが、人口減少社会における国内消費の活性化と、流通業界の生産性の向上の命運を握っている。

日経MJ 2018年10月8日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

小売りの明日

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