思わぬ変化にも耐え得るレジリエンス経営を

思わぬ変化にも耐え得るレジリエンス経営を

「レジリエンスを高める」第1回 - 「レジリエンスを高める」と題して20回にわたり、不確実性の高い時代における企業経営について考察する。第1回目となる今回は、技術環境の劇的な変化や不祥事対応など、自然災害にとどまらない、企業のリスク管理の在り方について解説する。

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今日の企業経営は不確実性、すなわちリスクとの戦いとも言える。KPMGが最高経営責任者(CEO)を対象に実施した「グローバルCEO調査2017」においても今後3年間の成長見通しは、昨年より楽観度が減少している。また、80%以上の日本のCEOが「地政学的な不確実性の結果、シナリオプランニングにより多くの時間をかけている」と回答した。
日本のCEOが最も懸念するリスクには「レピュテーション/ブランドリスク」「最新テクノロジーリスク」「サイバーセキュリティーリスク」が挙げられた。2016年の調査で「サイバーセキュリティーリスク」は13項目中で11番目、「レピュテーション/ブランドリスク」は最下位だった。技術環境の劇的な変化や相次ぐ不祥事による企業ブランドの毀損等への懸念を反映したものと考えられる。

「VUCA(Volatility: 変動性、Uncertainty: 不確実性、Complexity: 複雑性、Ambiguity: 曖昧性)」という用語は近年の企業経営上のリスクの特徴を指す。政治の世界では当初予想もつかなかったような政権が誕生し、「当たり前」と考えてきた政治的な価値観を覆すに至っている。また技術の世界では破壊的テクノロジーの乗数的な進化によって、製品開発から投入までのスピード、ビジネスの新規性、一般消費者のライフスタイルや価値観の変化など競争環境の変化サイクルも短く、激しくなっている。現代は経験値や過去の実績に基づく組織的意思決定が非常に困難であり、時として「正しく行う(正しい手続き)」よりも「正しいことを行う(正しい結果)」が求められる趨勢にもある。

従来型のリスク管理や危機管理の在り方や企業組織の在り方にも変化を求める向きが強い。特に「個々の全てのリスク事象に個別の予防策を採ることはコストメリット上不可能であり、むしろ顕在化したリスクによるダメージへの耐性と、いかに確実に回復するのかを重視し、企業の体質や組織風土などによるリスク耐性に注目すべきだ」とする論調の高まりが顕著である。これこそが逆境からの回復力を備えたレジリエンス経営への期待の源泉である。迅速な意思決定に基づく成果指向のマネジメントを健全に機能させるために、企業のレジリエンスが不可欠な要素となる。

変化を前提とした環境で求められる戦い方

環境変化 今後求められる戦い方
リスクの多様化/複雑化 組織としてのレジリエンス向上
事業サイクルの短期化 事業モデル変更時の撤退や再編を見据えた経営体制の構築
価値観の多様化 宗教や民族など価値観の違いを超えて協働するための共通インフラの整備
事業体制の高度化 現地での開発設計や知財取得など、さまざまな事業ニーズに対応できる体制の構築


日経産業新聞 2017年11月6日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

執筆者

KPMGコンサルティング
パートナー 足立 桂輔

レジリエンスを高める

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