遅延又はキャンセルに対しての補償(IFRS第15号に関連)- IFRICニュース2019年9月 - アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年9月) - 遅延又はキャンセルに対しての補償(IFRS第15号に関連)については、2019年9月のIASB会議で審議された内容を更新しています。

遅延又はキャンセルに対しての補償(IFRS第15号に関連)については、2019年9月のIASB会議で審議された内容を更新しています。

関連IFRS

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

概要

以下の前提において、遅延したか又はキャンセルされたフライトに対する航空会社の補償義務について、(a)IFRS第15号第50項~59項を適用して、変動対価として会計処理するのか、(b)IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」を適用して、フライト・サービスを顧客に移転する履行義務とは別に独立して会計処理するのか。

  • 法令により、乗客(顧客)に、法令上の特定の条件を満たす遅延及びキャンセルについて、フライト提供者(企業)から補償を受ける権利が与えられている。補償額は法令により定められており、その金額は顧客がフライトに対して支払う金額とは関連しない。
  • 法令により、強制可能な権利及び義務が創出され、企業と顧客との間の契約条件の一部を構成している。
  • IFRS第15号を顧客との契約に適用する際、企業はフライト・サービスを顧客に移転する約束を履行義務として識別する。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2019年9月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IFRS第15号第47項では、「取引価格を算定するにあたり、契約の条件及び自らの取引慣行を考慮する。取引価格は、顧客への約束した財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価である。(中略)顧客との契約において約束された対価には、固定金額、変動金額、あるいはその両方が含まれる場合がある」と規定されている。
  • IFRS第15号第51項では、値引き、リベート、返金、クレジット、価格譲歩、インセンティブ、業績ボーナス、ペナルティ又はその他の類似項目が、変動対価の一般的な例として挙げられている。
  • また、IFRS第15号B33項では、企業の製品が危害又は損失を生じさせる場合に企業が顧客に補償を支払う義務についての要求事項を定めており、当該義務を、顧客との契約の中の履行義務とは独立して、IAS第37号を適用して会計処理するとされている。
  • 本件において、企業は顧客を、ある場所から他の場所に予定のフライト時刻から所定の時間内に輸送することを約束している。企業がそれを行えない場合には顧客は補償を受ける権利を有する。
  • 従って、遅延又はキャンセルに対する補償は、顧客への約束したサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の一部を構成するものであり、B33項で示されている企業の製品によって生じた危害又は損害に対する補償を表すものではない。
  • 契約ではなく、法令が支払われる補償額を定めているという事実は、取引価格の決定に影響を与えない。
  • 当該補償は、IFRS第15号に付属する設例20に例示されているように、変動対価を生じさせる。
  • 従って、当該補償は、契約における変動対価(IFRS第15号第50項~59項を適用)である。なお、収益の減額として認識される補償額が取引価格のゼロまでの減額に限定されるのかどうかという点は今回のIFRS-ICでは検討されなかった。

IFRS-ICは、2019年9月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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