EU:メルコスールとの貿易協定に合意

欧州連合(EU)とメルコスール加盟国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)は、2019年6月下旬に貿易協定の政治合意に至りました。

欧州連合(EU)とメルコスール加盟国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)は、2019年6月下旬に貿易協定の政治合意に至りました。

EUはメルコスールが貿易協定を結ぶ最初の主要相手国となります。本協定の適用範囲は広く、その範囲には、関税と規制関連事項(サービス、政府調達、貿易円滑化、技術的障害、衛生植物検疫措置および、知的財産)が含まれます。
以下の項目が、本協定による関税関連の恩恵として挙げられます。

関税の撤廃

メルコスールとの貿易協定により、EUからのメルコスール向け輸出品の91%について、10年間にわたり関税が撤廃されます。メルコスール加盟国は、以下のような工業製品および農産品への高関税を撤廃することになります。

  • 自動車・同部品(関税率:最高35%)
  • 機械(関税率:最高20%)
  • 衣服および繊維(関税率:最高35%)
  • ワイン(関税率:最高27%)
  • チョコレート(関税率:最高20%)

本協定により、メルコスールからの輸出品に対してもEU市場が開かれることになります。メルコスールからEUへ輸入される物品にかかる関税のうち、92%が10年以内の移行期間において撤廃されます。しかし、EUはセンシティブ農産物(牛肉、エタノール、豚肉、蜂蜜、砂糖および鶏肉等)の輸入は制限するため、こうした品目については、EUの厳格な基準を順守する必要があります。従って、メルコスールからの輸出によりセンシティブ品目が無制限に輸入され、EU市場がリスクにさらされることはありません。

原材料・部品に関しても、本協定によりEUとメルコスールの製造業の市場間のアクセスが容易になり、競争性が高まります。本協定ではメルコスールからEUに輸出される皮革や大豆製品(EUの皮革工業・畜産にとって重要な物品)といった生産品に現在かけられている関税も、削減または撤廃されます。また、本協定では輸出入の価格要求および独占も禁止されます。

技術的障害の削減

さらに、EUとメルコスールは技術的障害の削減にも合意しました。製品の技術規制や規格が市場によって異なる場合、輸出国に輸出先市場の規制や規格に準拠するための追加コストが発生し、大きな障壁となる場合があります。本貿易協定は透明性と国際規格の使用を推進し、市場へのアクセスを促進します。また、本協定では、特に一部のセクターのEU製品の適合試験をEU内で実施し、メルコスール加盟国の認証を得ることで、企業による規格・規制順守の証明が容易になります。

今後の動向

2019年6月28日の貿易協定の合意後、関係者は法改正と協定最終案策定の手続きを進めている段階です。欧州委員会は最終案をEUの全公用語に翻訳し、本協定を欧州理事会および欧州議会の承認を得るために提出しますが、この手続きには1、2年所要することが見込まれます。

本件については、KPMGオランダによるレポート(2019年7月発行)もご参照ください。
本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

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