半導体:コネクティッドな世界のバックボーンとして、半導体業界の未来は明るい

本調査は、KPMGが毎年実施する『グローバル半導体業界調査』の第14回調査結果を取りまとめたものです。世界の半導体企業に影響を及ぼす新たなトレンドと主要な課題を明らかにするとともに、収益の成長、戦略、業務効率の向上など、企業が将来の成功のためにビジネスの最重要分野に活用できるインサイトを提供します。

本レポートは、KPMGが毎年実施する『グローバル半導体業界調査』の第14回調査結果を取りまとめたものです。

KPMGは、世界半導体連盟と連携し、世界の様々な地域、企業規模、業界セグメントの半導体企業のシニアエグゼクティブ149名を対象に、2019年以降の展望について調査を実施しました。今回の調査には、新たに台頭してきた半導体事業者が、これまでよりも数多く含まれています。これらの革新的企業は、新たな技術やアプリケーションへの大幅な投資を進めるとともに、急速に成長を続けており、半導体業界の展望を理解するには、新興企業の視点を知ることも不可欠です。
無線通信からコネクティッドな世界へと移行し、人工知能が大きな進歩を遂げ、半導体業界は急速に発展し、競争が一層激しくなっています。半導体業界のエグゼクティブは、どのようにこうした新しい状況を好機と捉え、将来の収益源を確保していくことができるのでしょうか。

ポイント

  • 半導体企業のエグゼクティブは、業界を牽引する将来の成長要因として、IoT、5Gネットワーク、AI、自動車などの新市場に期待をかけている。
  • 半導体企業が今日の厳しい市場環境を生き抜くには、研究開発の効率化および人材の獲得が大きな課題となる。
  • 米国と中国は、将来の業界の収益成長に重要な地域であるが、企業はこれら2市場のみに過剰に依存することがないよう慎重を期す必要がある。

IoTとコネクティッドな世界のエコシステムが業界を牽引

半導体担当エグゼクティブは、IoTに大きな期待をかけています。本調査においては初めて、IoT(コネクティッドホーム、スマートシティ、インダストリアルIoT、個人用ウェアラブル機器など)が、今後1年間の半導体収益を牽引する最も重要な用途の第1位となりました(全回答者の64%が選択)。そして、「データセンター/ストレージ」は、昨年調査より順位が大幅に上昇し、IoTが半導体業界に莫大な潜在的可能性をもたらすものであることを示しています。IoTとの接続が拡大すると、消費者や企業が収集するデータ量も増え、データストレージに対するニーズがさらに大きくなることが予想されます。

IoTが初めて、今後1年間の収益を牽引する用途の第1位にランクイン

(5段階で「重要/非常に重要」を選んだ回答者の割合)

用途 2018 2017
平均 平均
IoT 64% 3.9 63% 3.8
スマートフォン、その他のモバイル機器を含む無線通信 60% 3.8 75% 3.9
人工知能/コグニティブ/ディープラーニング 56% 3.8
59% 3.5
自動車 58% 3.7 55% 3.5
家電製品(コンシューマ―エレクトロニクス) 50% 3.5 59% 3.5
クラウドコンピューティング 49% 3.5 43% 3.4
産業機器 48% 3.4 59% 3.5
バイオメトリクスを含むセキュリティ 47% 3.4 45% 3.2
データセンター/ストレージ 44% 3.4 24% 2.9
拡張現実/仮想現実 32% 2.9 37% 3.2
電力技術 30% 2.9 21% 2.6
ロボティクス/ドローン 28% 2.9 45% 3.2
有線通信 24% 2.8 60% 3.6
医療機器 28% 2.7 21% 2.6
パソコン 19% 2.5 29% 3.1

1=全く重要ではない、5=非常に重要である
出典:KPMGグローバル半導体業界調査結果、2019年

また、2019年に成長機会を有するセクターとしては、「センサー/MEMES」が第1位となりました(全回答者の72%、小規模企業では80%が選択)。同セクターは、ウェアラブル機器での人間の心拍数のチェックから、スマートホームにおけるエネルギー使用量のモニタリングまで、IoTに関連する多数の消費者向け用途が考えられます。
IoTは重要度では第1位にランクしていますが、エグゼクティブの予想によると、必ずしも2019年の収益につながるとは考えられていません。IoTが、次年度の企業収益に占める割合は21%(全体で第7位)ですが、3~5年後には25%に増加することが予想されています。これは、IoT向けに最適化されたチップに関する現在の投資とデザインウィンが利益を生み出すまでにある程度の時間がかかることを示しています。

研究開発が最優先の戦略課題

IoTやAIなど新たなテクノロジーの爆発的な発展は、チップメーカーによる、改善された新しい製品・ソリューションの開発に拍車をかけています。半導体業界の競争は非常に厳しく、特に大企業は、破壊的技術の導入や新たな事業領域への多角化を進めています。
多くの半導体企業がイノベーションに対するプレッシャーを感じていることは明らかです。調査結果によると、半導体企業における今後3年間の戦略的最優先項目として、「イノベーションとR&Dの強化」が第1位となりました(全回答者の41%が選択)。

半導体企業における今後3年間の戦略的最優先項目

そして、今後3年間に半導体業界が直面する最大の課題を問うたところ、「研究開発費の上昇」と述べた回答者が48%にのぼり、前年から28ポイント増加し第1位となりました。また、企業の78%が、2019年度は、自社の研究開発費が増加すると予想し、回答者の約30%が、2018年の収益の4分の1以上をR&Dに投じると回答しています。

人材獲得競争が成長を脅かす

コネクティッドな世界では、ますます多様な製品やソフトウェアが求められるようになることから、スキル不足はさらに深刻化し、人材獲得競争は一層激化すると考えられます。今回の調査では、回答者の64%が、自社の組織の成長を妨げる上位3つの脅威の1つに、人材リスクをあげています。

成長を脅かすリスク

新しいテクノロジーを設計・導入するために必要なスキルを持ったイノベーターの数は限られていますが、誰もが、そうしたイノベーターを求めているように思われます。半導体製造装置材料協会によると、世界の半導体業界では10,000件を上回る求人がある一方、ハイテク分野の職務を担える人材の数は十分ではありません。

次のステップ:どこに向かうのか

半導体業界を牽引する将来の成長要因は、IoT、5Gネットワークの接続、AIシステム、自動車です。顧客のニーズがますます多様化し、各企業はこれらの成長要因を収益化するための方法を戦略化しなければなりません。
まず、セキュリティは、極めて重要なビジネス上の課題です。コネクティッドディバイスの爆発的な増加は、脆弱なネットワークへの潜在的エントリーポイントが増えることを意味します。もはや、製品設計段階から基本的な要件として考慮するだけでは不十分で、取締役会やエグゼクティブレベルで管理を行わなければなりません。セキュリティ強化は、製品や顧客を守るだけでなく、最終的にはブランドの評判を守ることになります。
そして、半導体業界は、R&Dの一層の効率化を進めなければなりません。顧客ニーズの多様化は、それぞれのニーズに配分される研究開発費が不足する可能性を意味します。客観的で、構造化され、D&Aに裏付けられた方法を製品管理や研究開発費の配分に導入すれば、半導体企業は、最も収益性の高い製品を特定し追及する能力を向上できるでしょう。
さらに、人材やスキル不足は、先を見越しての対応が必要です。新たなインターンシップや実習モデルの創出、女性や特定マイノリティなどの人々への働きかけ、また、既存従業員を対象とする社内プログラムを導入することによっても、最も成長が期待される分野に人材を投入できるようになります。

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