ミャンマー:会計年度の変更に伴う税務年度の変更

ミャンマー:会計年度の変更に伴う税務年度の変更

内国歳入局(Internal Revenue Department(以下、IRD))は、2019年5月15日付けで、各税務署へ宛てて内国歳入局レター No.(4), Au Sa-2/PaTaKha/2019 (5229)(以下、本レター)を発行しました。

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本レターでは、国営企業および金融機関等を含むミャンマー国内にて事業を行う全ての納税者の会計年度および税務年度が、2019年4月1日から2019年9月30日の移行期を経て、10月1日から翌年9月30日へ変更される旨、IRDから各税務署に対して通知されています。本レターはIRDから各税務署へ宛てたレターであり、本件に関する納税者向けの公式な通達の公表が待たれるものの、会計年度および税務年度の変更は企業の決算・税務申告作業に大きな影響を与えるものと考えられることから、上記の変更を前提として早めに対応を検討することをお勧めいたします。なお、KPMGミャンマー事務所では納税者向けの公式の通達の公表についてIRDに確認をしたところ、非公式ながら今後納税者向けの通達も発行される予定との情報を得ましたので、本件に関するIRDによる納税者向けの公式の通達の公表について引き続き注視する必要があります。

以下、本レターのポイントをお知らせいたします。

本レターのポイント

1. 会計年度および税務年度の変更

国営企業および金融機関等の会計年度および税務年度は2018年よりすでに10月1日から翌年9月30日に変更されておりましたが、それ以外の企業の会計年度および税務年度は4月1日から翌年3月31日のままとされ、その変更は求められていませんでした。
しかし、本レターでは、国営企業および金融機関等を含むミャンマー国内で事業を行う全ての納税者の会計年度および税務年度が、2019年4月1日から2019年9月30日の移行期を経て、10月1日から翌年9月30日に変更される旨が記載されており、2019年から全ての納税者の会計年度および税務年度を以下のとおりに変更することを予定しているものと考えます。

会計年度および税務年度の変更
会計年度および税務年度の変更

(1)2018-2019年度(前年度)
2018年4月1日~2019年3月31日の12ヵ月間

(2)2019年度(移行期)
2019年4月1日~2019年9月30日の6ヵ月間

(3)2019-2020年度
2019年10月1日~2020年9月30日の12ヵ月間

2. 会計期間の変更に伴う決算対応の増加

日本等の親会社の連結対象となっているミャンマー子会社・関連会社(以下、ミャンマー子会社等)では、今回の会計年度の変更により親会社の決算日とミャンマー子会社等の決算日とが相違すると予想されます。このため、親会社が採用している会計基準に基づき対応を検討する必要があると考えます。親会社が日本基準または国際財務報告基準(以下、IFRS)を採用している場合には、ミャンマー子会社等の連結上の重要性を考慮した上で、それぞれ以下の対応が必要になると考えます。

  • 日本基準

子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、子会社は、連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行うものと規定されています。(連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)16項)ただし、子会社の決算日と連結決算日の差異が3ヵ月を超えない場合は、一定の条件のもと子会社の決算日における正規の決算を基礎として連結決算ができると規定されています。(同注4)
また、関連会社について持分法を適用する際には、関連会社の直近の財務諸表を使用するものと規定されています。親会社と関連会社の決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引等が発生している場合には必要な修正を行うものと規定されています。(持分法に関する会計基準(企業会計基準16号)10項)

親会社の連結決算日が3月31日の場合、今回の会計年度の変更により各社の決算日の差異は3ヵ月を超えて6ヵ月となります。この場合、日本基準に基づくと、親会社はミャンマー子会社の9月30日時点の決算情報を基礎として連結決算を行うことができないため、原則としてミャンマーでの会計年度にもとづく9月末決算とは別に、親会社の連結決算のために親会社の連結決算日である3月31日を基準日とした決算を行う必要があります。この結果、今後ミャンマー子会社は毎年9月30日と3月31日を基準日とした2度の決算を行うことが必要になると考えます。
また、ミャンマー関連会社においても連結決算日との差異期間の6ヵ月以内に重要な取引等が発生している場合には、原則として9月30日時点の決算情報を調整した上で、親会社に報告する必要があります。

  • IFRS

連結財務諸表の作成に用いる親会社およびその子会社の財務諸表は、同じ報告日としなければならないと規定されています。親会社の報告期間の期末日が子会社と異なる場合には、実務上不可能な場合を除いて子会社は親会社の財務諸表と同日の追加的な財務情報を作成する必要があると規定されています。(IFRS10号B92)
また、関連会社について持分法を適用する際には、関連会社の直近の財務諸表を使用するものと規定されています。親会社の報告期間の期末日が関連会社と異なる場合には、実務上不可能な場合を除いて関連会社は親会社の財務諸表と同日の財務諸表を作成する必要があると規定されています。(IAS28号33項)

親会社の連結決算日が3月31日の場合、今回の会計年度の変更により各社の決算日に差異が生じることとなります。IFRSでは原則として決算日を統一することが求められており、親会社はミャンマー子会社等の9月30日時点の決算情報を基礎として連結決算を行うことができないため、原則として親会社の連結決算のために親会社の連結決算日である3月31日を基準日とした決算を行う必要があります。この結果、日本基準と同様に、毎年9月30日と3月31日を基準日とした2度の決算を行うことが必要になると考えます。

なお、日本基準およびIFRSのいずれの場合であっても、ミャンマー子会社等の規模や連結上の重要性により必要となる対応も各社ごとに異なることが考えられるため、早期に親会社も含めて対応について協議することをお勧めいたします。

3. 移行期における実務上の問題点

ミャンマー所得税法やその他の法律では税務年度は1年間を前提として規定されていることから、税務年度が6ヵ月となる2019年4月1日から9月30日の移行期における実務上の問題点が生じるものと想定されます。しかし、本レターでは以下のような移行期における実務上の問題点への対応について明確に記載されておらず、今後公表が予定されている全ての納税者向けの公式通達において明確にされることが期待されます。

  • 変更の対象となる税種目

税務年度の変更の対象となる税種目は明記されていません。ただし、2018年に金融機関の会計期間が変更された際には法人所得税、個人所得税および商業税の税務年度が変更の対象とされていることから、これと同様の取扱いになるであろうと考えます。

  • 税務申告の要否

移行期における税務申告の要否について明記されていません。2018年に金融機関の会計年度が変更された際は会計年度の変更に合わせて税務年度も変更するかどうかについての具体的な記載はありませんでしたが、本レターによれば、会計年度の変更に合わせて税務年度も変更される旨の記載がされており、移行期の6ヵ月間の税務年度に基づく税務申告が求められるものと考えます。

  • 税務申告期限

移行期の税務申告期限について明記されていません。ミャンマー所得税法では税務年度末から3ヵ月以内に確定申告書を提出することが求められていることから、移行期の税務申告が必要となった場合、その申告期限は2019年12月31日になるであろうと考えます。

  • 個人所得税の計算

個人所得税に関する累進税率の決定のための所得金額の範囲、所得税額控除の金額、課税最低所得金額および居住者の判定基準等は、税務年度が1年間であることを前提とした金額・数値となっています。6ヵ月である移行期における上記の金額・数値の考え方について明記されていないため、これらの点を含む移行期における個人所得税の計算に関する指針が公表されることが待たれます。

  • 法定監査の要否

移行期における法定監査の要否について明記されていません。2018年に金融機関の会計年度が変更された際には金融機関は移行期である2018年4月1日から9月30日の6ヵ月を会計年度とした法定監査を受けていることから、事業会社においても同様の対応が求められるであろうと考えます。

終わりに

本レターはIRDから各税務署に宛てたレターであり、また上記のとおり移行期における実務上の問題点についても明確にされる必要があることから、早期に納税者に向けた本件に関する公式な通達が公表されることが望まれます。
また、多くの日系企業の親会社の決算日は3月31日であることから、今回の会計年度の変更によりミャンマーにおける多くの日系企業では9月30日を基準日としたミャンマーの会計年度に基づく決算と、3月31日を基準日とした親会社の連結決算のための決算という年に2回の決算業務を行うことが必要になると考えられます。この場合、ミャンマーにおける日系企業の決算・税務申告の作業負担が大きく増えることが予想され、加えて親会社も交えて対応を協議することが必要になると考えられるため、会計年度・税務年度が変更されることを前提として早めに実務上の対応検討を始めることをお勧めいたします。

ここで紹介した内容については適宜変更される可能性がある点にご留意ください。
また本稿は情報提供のためにのみ発行されるものであり、ビジネス上の意思決定に関するアドバイスの代用として使用されるものではありません。

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