革新的なプロセスマイニング、その活用メリット

革新的なプロセスマイニング、その活用メリット

従来型の人的リソースや経験に基づく業務プロセスの分析には、事業・業務知見、ヒアリング・記述・業務改善のスキルホルダーなど、膨大なリソース投入が必要でした。プロセスマイニングを活用することで、圧倒的なスピードで、これらの限界を克服することが可能になります。

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プロセスマイニングへの向き合い方

現在多くの企業では、M&Aや海外進出などでグループの組織構造が大きく変化し、業務実態を把握することが難しい状況が増えてきています。また新規ビジネスへの進出、他企業との協業も増加し、業務プロセスが複雑化しています。さらに、問題発生時の外部ステークホルダーからの責任追及とリスク対応策への負担は増大する一方です。しかし、経営活動の効率化や働き方改革の要請などにより、業務実態の把握と適正化に投入できるリソースの制約はより厳しくなっています。これらにより、リスク、ガバナンスおよび内部統制の対応は、これまで以上に確実に行うだけでなく、効率的に取り組む必要があることが、喫緊の課題となっています。

プロセスマイニングの概念

では、このような状況下で、プロセスマイニングをどのように使うのでしょうか。
これまでのように、都度発見した業務プロセスの問題や欠陥にパッチを当てて、有効性を高めようとするだけの非効率なリスク管理や内部統制では限界があります。業務プロセスの効率性と有効性の両面をセット向上させることで業務プロセスの品質を高めていくことが求められます。しかし、両面の追求しようとすると、検討対象が広範で複雑となってしまうため、難易度が高くなります。これらを最も効率的・効果的なアプローチで実現できるのが、プロセスマイニングです。出発点でプロセスマイニングを使い、効率的に実態を把握することが解決の糸口となるでしょう。

プロセスマイニングの革新性

効率性や有効性の課題を多く抱える業務プロセスであるほど、フローが長く、多数の部門や担当者が介在し、バリュエーションが多岐にわたる傾向があります。その隅々まで、きめ細やかに把握して改善することは非常に困難です。従来のアプローチの限界の克服にこそ、プロセスマイニングの革新性があります。

プロセスマイニングの革新性

  従来アプローチの限界 プロセスマイニング
可視化の網羅性
  • スコープを絞って、ヒアリングや資料閲覧から業務を可視化
  • 可視化は原則処理が中心
  • 対象業務プロセスの全てのパターンを可視化
納得性
  • 定性的な理想論との比較での指摘では、実務との見解の違いから改善をドライブできない
  • 定性的、定量的な事実に基づき問題と原因の所在を特定した上で改善の必要性を判断するため、納得性が高い
実態志向
  • 全ての業務処理パターンへの対応が難しく、管理職教育等の間接的で、即効性のない対応を取らざるを得ない
  • 業務そのものの改善を志向
継続性・適時性
  • 可視化・分析の負担が重いため、継続的には実施できない。
  • 一度設定できれば、投入データを更新することで何度でも適時に行える。

プロセスマイニングの活用メリット(基本形)

プロセスマイニングの活用領域は、非常に幅広く、多くの組織でそのメリットを享受できます。以下に活用例とメリットを記載します。

プロセスマイニングの業務リスクへの活用法とメリット

(1)基本形 プロセスマイニングツールの基本的な活用で享受できるメリット
(2)応用形 (1)にノウハウやソリューションを加えることで得られるメリット
(3)発展形 AIとプロセスマイニングを活用することで享受できるメリット

メリット1:(基本形)プロセスデザインと実体の検証、改善機会の創出

すべての処理パターンを可視化することで、業務品質の改善ポイントを具体的に特定し、より適した対策を講じることができます。プロセスマイニングは、情報システムで処理され、一定の条件を満たすデータがある業務プロセスであれば何にでも利用できます。例えば、販売プロセスにおいて、受注の取消頻度・理由、滞留債権の状況、マニュアルで対応した請求書数と自動化できる余地はどの程度か、保険会社におけるクレーム処理プロセスにおいて、複数拠点のプロセス差異比較によりプロセス効率はどう改善できるかというものです。ただし、特定部門のみで完結するプロセスや業務に関わる人数や処理のバリュエーションが少ないプロセスでは、プロセスマイニングツールの導入効果は薄いかもしれません。自社のどの業務プロセスに適用すると大きなメリットが得られそうか、検討の上で利用することをお勧めします。

メリット2:(基本形)「属人性」によるバラツキや高負荷の克服

マニュアル処理が多いプロセスにおける「属人性・専門性」のブラックボックスを透明化することができます。マニュアル処理と担当者に着目して、各タスクに要している時間と手戻りを可視化することにより、専門性に依存した処理やマニュアル処理の曖昧さを透明化することができます。透明化により、標準的でない処理や非常に時間が掛かってしまう処理の発生場所や、手戻りが多いマニュアル処理を特定することができ、業務担当者の最適配置や業務手順の標準化など、業務プロセスの効率と品質のボトルネックの解消を図ることができます。特に、業務マニュアルに無いローカルルールが多く存在している場合に大きな効果を得ることができます。

プロセスマイニングの活用メリット(応用形・発展形)

メリット3:(応用形)不正リスクへの対応

不正取引は、その手口を実行するため及び隠ぺいするために、何らかの例外処理が行われることが多いです。しかし、膨大な取引データの中から、不正が疑わしい例外処理を抽出・検知することは容易ではありません。これまでのデータ分析では、あらかじめ不正が行われた際にデータに現れる特徴から設定した分析シナリオに該当するデータを抽出する手法が多く取られてきました。しかし、この方法はあらかじめシナリオを設定することの難しさと、設定していないものは検知することができない課題がありました。この課題を補うべく、いわゆるBIツールを利用して、データの傾向の特徴を様々な角度から可視化して異常値を検出する傾向分析の手法の利用が進んできましたが、傾向のみからでは疑わしい取引を絞り込み切れないという課題がありました。また、いずれも全体の実態把握や問題や原因の所在の特定には不向きであると言えます。プロセスマイニングを活用し、業務データの事実からパターンを整理し、原則的処理と異なる動きをする取引を抽出し「どこで例外処理が起こっているのか」「どの程度の頻度で発生しているのか」という分析を付加することで、従来行っていたデータ分析に相乗効果がもたらされ、実用性を向上させることができます。
分析ツールありきではなく、目的や課題に適合する最適なツールの選択、組み合わせといった観点からプロセスマイニングを捉えることも必要です。

なお、不正は基本的な内部統制の逸脱処理として行われることも多いです。例えば、発注書があるにもかかわらず納品書がない、検収を実行することなく支払いが完了しているなどの架空取引が挙げられます。プロセスマイニングでは、このような処理を容易に検知します。
あるべき内部統制手続に反する取引を抽出することを加えるとさらに効果を高めることができます。
KPMGでは、プロセスマイニングに付加してあるべき内部統制と異なる取引を検知する機能を多く開発しています。例えば、業務分掌の欠陥により不正が行われるケースが多いですが、KPMGの追加機能では、不正に繋がりやすい業務分掌の不備がある取引を検出することもできます。

不正リスクへの対応

メリット4:(応用編)PMI・ガバナンス強化のための子会社実態把握

M&Aを行う際、買収先企業の業務実態の把握には膨大な時間を要するといった課題があります。例えば、(1)親会社として求める業務の基本ルールを整備する。(2)子会社の業務プロセスを業務記述書やフローチャート、リスク・コントロール・マトリックス等を人手で作成して可視化する。(3)可視化結果から子会社の業務プロセスの構築能力や特徴を把握し、要改善事項を特定する。(4)業務プロセス責任者等を改善の必要性について協議し納得してもらう。(5)改善を実行してもらう。(6)一定期間後に改めてヒアリングやサンプルテスト等を行い、改善の実行状況や定着状況を評価する。といったステップでの対応が多くの企業で行われており、年単位の時間がかかっているケースも珍しくありません。
プロセスマイニングを活用すれば、あるべき業務ルールと比較しながら業務実態を網羅的に可視化することができ、上記ステップをスピーディに行うことができます。

メリット5:(応用編)業務品質モニタリング

メリット1から4の活用法が実現できれば、その後は投入データを更新だけで継続的にモニタリングができるため、実現した方法を繰り返すだけでモニタリングの有効性、効率性、継続性を改善することができます。具体的には、以下の4つが可能です。

業務品質モニタリング
  • 改善されたか? を具体的・定量的に確認
  • パフォーマンス評価による改善策の有効性評価
  • 網羅的なモニタリングを継続的に行える
  • 拠点間のパフォーマンス比較で改善機会を創出

メリット6:(発展形)タイムリーな予兆検知によるリスクの事前予防

プロセスマイニングの発展的な活用法では、これまで蓄積した業務データからAIに問題が発生するクセを覚えさせ、問題発生の兆候を捉えると、リアルタイムで然るべき担当者に通知し対応を促すことができます。この機能により事後発見型のリスクデータ分析から、事前予兆型のリスク予防へと変革させることができます。

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