地下権(IFRS第16号に関連) - IFRICニュース2019年6月 - アジェンダ却下確定
IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年6月) - 地下権(IFRS第16号に関連)については、2019年6月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。
地下権(IFRS第16号に関連)については、2019年6月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。
Article Posted date
24 July 2019
関連IFRS
IFRS第16号「リース」
概要
以下の前提において、本契約はリースを含むかどうか。
- パイプライン運営者(顧客)は、対価と交換に20年間にわたって、地下空間に石油のパイプラインを設置する権利を取得する。
- 契約により、パイプラインが設置される地下空間の正確な場所及び範囲(軌道、広さ、深さ)が特定されている。
- 土地の所有者は、パイプラインの上の土地の地表部分を使用する権利を有するが、20年の使用期間にわたって当該地下空間にアクセスする権利もその使用を他に変更する権利もない。
- 顧客は、検査、修繕及び維持管理作業を行う権利を有する。
ステータス
IFRS-ICの決定
IFRS-ICは、2019年6月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。
- 地下空間は有形であるので、無形資産のリースに関するIFRS第16号第3項及び第4項に基づき、IFRS第16号の適用範囲外とすることはできない。
- 契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるか、又はリースを含んでいる、とされる(IFRS第16号第9項)。
- リースの定義を満たすためには、顧客は次の両方を有している必要がある(IFRS第16号B9項)。
a)使用期間全体を通じて、特定された資産の使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利
b)使用期間全体を通じて、特定された資産の使用を指図する権利
特定された資産
- 契約の仕様には、パイプラインが設置されている地下空間の正確な場所及び範囲(軌道、広さ、深さ)が含まれているため、地下空間は、土地の残りの部分から物理的に別個のものである。空間が地下にあることは、それ自体では、それが「特定された資産」かどうかに影響を与えず、土地の表面の所定の区域が物理的に別個であるのと同様に、所定の地下空間は別個のものである。また、土地保有者は、使用期間にわたって地下空間を入れ替える権利を有していない。
- よって、地下空間はIFRS第16号B13項~B20項に記載の「特定された資産」に該当すると結論付けた。
使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利
- 顧客は20年の使用期間全体を通じて、特定された地下空間を独占的に使用するため(IFRS第16号B21項)、使用期間全体を通じて、使用からの経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有するといえる。
使用を指図する権利
- 所定の地下空間がどのように、何の目的で使用されるかは、契約において事前に決定されており、顧客は、検査、修繕及び維持管理作業を行う権利を有することにより、所定の地下空間を運営する権利を有するため(IFRS第16号B24項(b)(i))、顧客は20年の使用期間全体を通じて、所定の地下空間の使用を指図する権利を有するといえる。
従って、本契約はIFRS第16号で定義されるリースを含むと結論付けた。
IFRS-ICは、2019年6月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。