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Me, my life, my wallet 第2号

Me, my life, my wallet 第2号

本稿では、昨年のGlobal Customer Insightsプログラムにおけるフレームワーク「5つのMy」を活用し、さらに新しいインサイトを導入して調査を実施しました。消費者の言葉や感情、行動を通して、今日の世界について考察します。

中村 吉伸

KPMG FAS 執行役員パートナー/KPMGジャパン リストラクチャリングサービス統括、KPMGジャパン 消費財・小売セクター統括

KPMG FAS

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昨年同様、KPMGでは、消費者行動の主要要素である「5つのMy」、すなわち消費者の動機・関心・つながり・時間・財布への理解を深める独自のフレームワークを用い、さらに付加的な要素を加え、顧客理解をより深めるための調査を実施しました。その結果、「消費者である一個人として、私はどういう人間なのか」という視点から、消費者の自画像に対する理解の重要性を再認識させるものとなりました。
また、顧客の財布についても改めて見直しました。私たちは主要なライフイベントがどのように収入・消費・支出の関係に影響を及ぼしているかを検討するとともに、資産や退職に対する態度、世代間の相違についても各国で調査しました。そこで明らかになった差異についても検証を行っています。

ポイント

  • 「5つのMy」は消費者の動機・態度・期待の急速かつ根底的な変化について理解を深めるために考案された、世界規模のフレームワークである。
  • ベビーブーム世代の両親とミレニアル世代の子どもに挟まれ、これまで見過ごされてきたジェネレーションX(1960年代初頭から1980年までの間に生まれた世代)を中心に世代間にわたる変化について詳しく調査した。
  • 老後への不安から、退職せずに、生涯現役でいることを選ぶという新しいライフステージが出現している。
  • 日々の生活を最新テクノロジーに支えられている一方、そのテクノロジーとのやり取りが残すデータの痕跡や個人情報について、消費者の意識は高まっている。

世代間にわたる変化

「忘れられた世代」とも呼ばれるジェネレーションXにスポットを当てて調査を実施しました。この世代はこれまで見過ごされてきましたが、技術的な知識が豊富で、将来有望なビジネスプロフェッショナルを多く輩出しています。
彼らは、過去から現在にかけて、景気の低迷や就職難など多くの困難にぶつかってきた世代です。また、幼い子ども(ジェネレーションZ)と高齢の両親という2つの存在の世話や扶養の板挟みとなる「サンドイッチ世代」でもあります。そのため常に時間に追われ、財布も圧迫されています。
しかし現在、この世代は所得のピークを迎えています。強い勤労意欲もあり、同年代だったころの両親に比べ裕福ではないものの、所得、支出ともに生涯で最も多い時期にあるのです。さらにその子ども世代であるジェネレーションZが、親のジェネレーションXの財布(家計)に強い影響力を持つことも忘れてはならないでしょう。

資産と財布

今回の調査では、資産と退職に対する態度も検証しています。この調査データから、老後に不安を抱えながらも、現状に甘んじ、十分な備えができていないという消費者像が浮かび上がりました。このような問題を起因として登場した「アンリタイアメント」という新しいライフステージは、予想外の展開をもたらす可能性があります。消費者向けのビジネスに携わる企業は、その不確実な未来に備える必要があるでしょう。
財布の在り方とその移り変わりを決定づけるのは、ライフイベントの性質とタイミングであり、人口統計ではありません。「5つのMy」フレームワークと連動させる形で、その主要なライフイベントのタイミングと性質を検討することは、消費者一人ひとりの将来を設計したり、予測したりするうえで役立つものとなるでしょう。

私たちの生活とテクノロジー

たくさんの情報にアクセスできることに満足している消費者は多いが、中にはテクノロジーを活用して情報アクセスを管理し、情報過多を回避するケースも少なくありません。そのため消費者の関心をひきつけ、獲得し、どのように保持し続けるかという問題はいっそう複雑になるばかりでしょう。
その反面、将来の消費者は、数え切れないほどのアプリ、プラットフォーム、テクノロジーからチャネルを選択することになると考えられます。そのときビジネスを成功させるのは、音声・テキスト・画像という3つの対話方式を持ち、状況に即して消費者情報を活用する企業です。
また透明性が高まり、消費者が豊富な情報と発言力を獲得し、互いのつながりを深めている社会の中で、信頼という概念が注目されています。中でも自分に関するデータの取り扱いについて厳しい視線が注がれており、企業や組織はその信頼度を高めることに緊急に取り組む必要があるのです。

組織の最重要課題

組織が直面している課題は大きく分けて2つです。第1は、消費者の意思決定に到達する道筋は昨日と今日とでは違い、そして明日にはさらに変化しているということです。企業は、これらの消費者行動や意図が、未来においてどのように変わるのかを深く理解することが重要です。
第2に、最新テクノロジーにより透明性の高い、つながりあった世界では、消費者の意図を組み込んだ体験を提供することが緊急の課題となっています。なぜなら消費者はどこかで得た最高の体験そのものを「期待」とし、それ以外のすべてのブランドはそれと同等、もしくはそれを超える体験を求められるからです。
このような消費者の行動や意図、期待を深く掘り下げて理解することの重要性は、従来よりも増しています。消費者は刻々と変わる環境に異なる反応を示しており、その差異は世代や所得水準だけでなく、国民文化やそれぞれの置かれた状況からも影響を受けます。この認識を製品はもちろん、サービス、価値提案、そして顧客体験へと反映させ、ビジネスを構築する組織が、複雑化する消費者に対してのレレバンス(適切度)を高めていくことになるでしょう。

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