EUの新たな「合意なき離脱」プランは、企業への贈り物となるか?

EUの新たな「合意なき離脱」プランは、企業への贈り物となるか?

The Brexit Column - 一部の企業は、2度目の国民投票が実施されれば、Brexit問題は明快に解決されるという考え方に傾きつつあります。

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今年のクリスマスには、トリュフやローストポテトと並んで、もう1つ新たな誘惑があります。一部の企業は、2度目の国民投票が実施されれば、Brexit問題は明快に解決されるという考え方に、傾きつつあります。また、同程度の企業が、英国のEU離脱は、この状況を解決する時間を確保するために、少なくとも延期されるとの考えを持ち始めています。そのため、合意なき離脱に備えた計画を急いで立てる必要性は、あまり感じていないと言う企業もあります。

水曜日に公表されたEUによる「管理された合意なき離脱」に向けた計画は、このような企業にとって更なる安心材料となりました。

確かに、この14項目を含む提案は、私たちの予想以上に寛大なものでした。この提案では、航空、海上、陸上輸送の維持の保証、および英国をベースとするクリアリングハウスを通じたデリバティブのグローバル市場への在EU諸国の企業によるアクセスの保証を目指しています。超楽観主義者であれば、このEUの提案を「移行措置の明るい兆し」と言うかもしれません。

私たちは、このEUの提案を歓迎すべきです。しかし、はっきりさせておきたいことがあります。その兆しは、トンネルの終わりに見える明かりというよりも、ちらちらと瞬く炎のようなものです。まず初めに、この提案は期限付きの措置であり、いつでもEUが終了させることができます。また、合意なき離脱が引きおこすと想定される潜在的な混乱を避けるには、ほとんど何の役にも立ちません。例えば、個人データの国境を越えた移転の禁止解除には、一切効果がありません。本提案は、英国ではなく、EU27ヵ国とその国民の利益を考慮して策定されているためです。

EU離脱の延期と2度目の国民投票という、よく似た2つの選択肢も同じくらい当てにできません。このBrexit Columnで以前お伝えしたように、2度目の国民投票という考えは、政治的、実質的、精神的にハードルが非常に高いものです。英国によるEU離脱延期の要求が原理上は強力な選択肢にはなりえますが、これには、英国政府による取組みの抜本的な転換と他のEU27ヵ国の全会一致の両方が必要です。英国の要求を拒否または引き延ばすことに何らかの利点を見出すEU加盟国が1ヵ国でもあれば、全会一致は成立しません。

他の選択肢に揺さぶられている企業もあります。一部の顧客は、依然として自分たちは対策を取る時間がない、「だから、ポイントは何?」と、私に問いかけます。そこで、別の方法で、彼らを説得してみようと思います。困難な仕事にまだ手を付けていない企業が、3月に想定される事態に向けて十分な準備をすることは不可能であり、これには同意できます。しかし、優先的に対応すべき事項をリスト化し、予期せぬ影響を最小限に抑えるために、行動を起こすことができることもまた事実です。

ファイナンスを考えてみましょう。金融サービスチームの私の同僚は、Brexitを受けて英国企業における運転資金のニーズが拡大するのに対して、今年の年度末に世界的に流動性がタイトになり、その結果英国企業への融資が圧迫されるだろうと、かねてから懸念しています。この力学がすでに展開しつつあると想定すると、現在の自社の運転資金のポジションを再評価する、または融資元により積極的に関与するなどの対応は、残された時間でも意味のある行動です。
これから10日間は、クリスマスのお祝いのあの誘惑には負けてしまうかもしれません。それは、今年1年頑張ったご褒美のようなものです。しかし、これからの数ヵ月で「Brexitは起きない」または「私たちにできることは何もない」という誘惑に遭遇したら、どうか、ぐっと我慢してください。

本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

The Brexit Column - Is the EU's new no-deal plan a gift for business?

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