Brexitに厳しく、Brexitの原因にも厳しく

The Brexit Column - 2度目の国民投票が実施される可能性が高まってくると、企業は今とは全く異なる対応を取る必要がある、とMark Essexは述べています。

2度目の国民投票が実施される可能性が高まってくると、企業は今とは全く異なる対応を取る必要がある、とMark Essexは述べています。

私たちはBrexitに関する日々の些細な出来事に目が行きがちで、大局を見失っているのかもしれません。実際に、火曜日の重要な英国議会の採決は、まだ誰にも分らない目的地への1つの中間地点に過ぎません。次に何が起こるのでしょうか。また、私たちはさまざまな可能性に対して、どのように準備すべきでしょうか。

昨日のThe Times紙は、今後の出来事に関する質問に答える際に便利なフローチャートを掲載しました。このフローチャートでは、非常に複雑な今後の予測が整理して配置されています。そこでは、6つのシナリオから始まり、46の異なるルートを通り、8つの潜在的な結果が描かれています。結末の選択肢は、「合意なき離脱」、統一政府の下でのノルウェー・プラス型に向けた総選挙の実施、現行の離脱案の承認、または現行の離脱案の修正などにまで及びます。

また別の選択肢として、2度目の国民投票があります。ただし、これには政治的、実質的、精神的ハードルがまだ高いと考えられています(The Times紙は、2度目の国民投票へのルートを3つしか想定していません)。我々KPMGは企業に対して、現時点では「合意なき離脱」に備えた計画を維持することもアドバイスしていますが、その一方で、国民投票というシナリオが現実のものとなった場合、どのような対応を取るべきかについて検討することに意義があります。先週の英Financial Times紙主催のFT Brexit and Beyond Summitでは、聴衆のビジネスリーダーたちは、彼らの顧客の意見が分かれていると認識しており、2度目の国民投票が行われたとしても、それは票が割れることを再確認するものになるだろうと懸念していました。同時に、元々の結果の根本原因を改めて認識する必要があるという点も、多数の見解として挙がっていました。国民が変化を強く求めているこの国の現状においては、「残留」派のキャンペーンには、常にイメージの問題があると、私はこれまでコメントをしてきましたが、その点については、このサミットに参加していた著名なスピーカーであるトニー・ブレア氏も同意していました。

成長アジェンダ

私にとっては、Brexitは社会の心雑音のようなもの、つまり何かを変える必要があるという警告です。私たちが団結して根本原因を解決するための対応策を取らなければ、完全な心臓発作で社会全体が苦しむ危険に晒されることになります。

すべての条件が同じであれば、事業経営者の多くは、何十年にもわたって事業を発展させてきた事業環境と確実性の維持に投票するでしょう。その他の人たちは、可能な限り早急にBrexitの話し合い全体を決着させたいと望んでいます。ビジネスにおける選択肢は複数存在するものだと思います。

私が思う私たちが合意できる点は、多くの人たちが「離脱」という結果に最初に導いたと考えている根本原因を認識し、それに対し取り組む必要があるということです。企業は、地域的なバランスが取れた経済成長を生み出すために良好な状態にあります。私は、これを成長アジェンダと呼びます。仮に前首相の言葉を引用するとすれば、「Brexitに厳しく、Brexitの原因にも厳しく」ということなのだと思います。

成長のアジェンダは、今後発行する本コラムで我々が展開していくアイデアです。現在のところは、2つのアジェンダがあります。

  1. ロンドンやサウス・イースト以外の地域への投資を増やし、我々の経済を多様化することです。19世紀のアメリカでは、金が取れなくなったゴールドラッシュの町の店は閉店していきました。英国では、産業により創出された雇用が町から失われた後も、その労働者の多くは町に取り残されています。企業は、正しい方針と国と地方政府からのインセンティブを受けながら、そのような労働者が新しい技術を身につけ、再雇用されるように、積極的に関わっていく必要があるでしょう。人と地域の可能性を正しく見出していくことは、企業が得意とするところだと考えます。
  2. 先進的な技術やアイデアを公共サービスにおいても採用し、品質対費用という永遠の課題への対応を考えるべきです。KPMGの最近のレポート『Reimagine Public Policy(公共政策を再考する)』では、これらの方針に沿っていくつかの考えを提示しています。本レポートでは、手当受給者が、温まるか食べるかの二者択一に迷う必要がないように、また、犯罪者を適切に更生させるために、そして最も重要な点として、赤字に悩むことなく、より多くの家を建設できるように、独自の方法を提示しています。

このようなアイデアは企業と政府間の協力関係の一環としてのみ機能すると考えられ、また、それを実現する最善の形は、政府の産業戦略に沿ったものであるということだと考えます。

それこそが、私たちが団結できる確実な動機です。一緒に、成長アジェンダをつかみましょう。

本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

The Brexit Column: Tough on Brexit, tough on the causes of Brexit

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