デジタルレイバー時代の外部委託

「同僚はデジタルレイバー」第14回 - デジタルレイバー時代の到来を契機とした、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の見直しについて解説する。

デジタルレイバー時代の到来を契機とした、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の見直しについて解説する。

デジタルレイバーの1つの形態であり、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)によって、バックオフィスを中心とした業務のオペレーションコストが下がり、品質が向上していく。

バックオフィス業務においては、多くの企業が業務の一部またはすべてを外部企業に委託するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を実施している。賃金格差を利用したオペレーションモデルから、最善の事例である「ベストプラクティス」の適用やプロセスの一部自動化による生産性の向上、アナリティクスによる付加価値サービスの提供等、BPO自体の進化は見て取れる。しかし、デジタルレイバー時代の到来で、自社でRPAを導入し業務を内製化するのか、RPAを活用したBPO事業者に切り替えるのかといった、BPOを見直すきっかけになる。

自社で内製化する場合、例えばRPA導入後のオペレーティングモデルやガバナンス体制が適切に策定されているのかが検討する際の観点になる。同様に、社員に求められているスキルセットの変化への対応はできているのか、さらにRPAの導入による変革のビジョンが従業員に浸透しているのかも重要になる。また、RPAを活用したBPO事業者への切り替えを行う場合も、例えばBPO事業者がどういったRPA戦略とロードマップを描いているのかを検討することになる。RPA導入効果による創出利益の分配等、コスト還元の仕組みがあるかどうかや、使用されている技術に汎用性があるかといった観点に留意することが、BPOを成功させる鍵となる。

グローバルなBPO市場でリーダーと呼ばれている事業者は、RPAを提供するテクノロジー企業と提携し、自社が提供するソリューションに組み込み始めている。だが今後は、国内のIT(情報技術)事業者も含めたRPAサービスのパッケージ化や、RPAテクノロジー企業によるBPOビジネスへの参入動向についても注視していく必要がある。

業務委託も見直しの対象に

方針 検討の観点
自社で内製化
  • オペレーティング/ガバナンス体制
  • スキルセットの変化への対応
  • 変革のビジョンの従業員への浸透
BPO事業者の切り替え
  • RPA戦略とロードマップ
  • コスト還元の仕組み
  • RPA技術の汎用性

日経産業新聞 2017年4月19日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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