デジタルレイバー導入に必要な複数の視点とその構築とは

「同僚はデジタルレイバー」第24回 - デジタルレイバー導入に必要な3つの検討と付加価値創出の仕組みについて、解説する。

デジタルレイバー導入に必要な3つの検討と付加価値創出の仕組みについて、解説する。

定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や人工知能(AI)などのデジタルレイバーの導入時には、(1)どの業務に導入し効果を創出するか(2)創出した時間をどのような付加価値(新たな会社・部門の強み)に変えるか(3)付加価値創出のためのオペレーションにどう変えるかという3つの検討が必要である。

よくある間違いが、(1)で業務の自動化と業務量を削減のみに注力してしまうことだ。付加価値のつけ方をそれぞれの個人に任せてしまい、創出された時間が想定とは異なる使われ方をすれば、結果として経営側が期待した効果は出ない。デジタルレイバー導入は企業や部門のあるべき姿や存在意義を見直し、業務オペレーション自体を再検討するトリガーでなくてはならない。
デジタルレイバーは定型作業が業務の中心であるシェアードサービスセンターや事務処理センターなど業務が集約されている部門や、バックオフィス等に導入することで、業務量を削減し効率・スピード・品質を向上することができる。だが、企画・営業や管理職などの定型作業以外が業務の中心の人たちにも定型業務は必ず存在する。またそのような職種では労働時間が過重になり本来すべき業務の一部は手つかず、または時間が足りないこともあるだろう。そんな場合にも、それぞれの定型業務を削減することで、創出した時間を本来すべき業務に充て、高度化につなげていくこともできるようになる。

この高度化や付加価値創出の仕組みを組織的に作り出すことをターゲットオペレーティングモデル(TOM)再構築と呼ぶ。TOMは、この創出された時間が作り出す付加価値を再定義した後、業務・人・組織・テクノロジー・評価指標・ロケーションの6つの視点で見直しを行う。必ずしも大掛かりに実施する必要はないであろう。しかし業務プロセスを変えるだけではなく、複数の視点から付加価値創出の仕組みを検討し定義することで真の高度化に寄与する仕組みが構築できるので、積極的な実施を勧めたい。

デジタルレイバー導入時に検討が必要なポイント

デジタルレイバー導入時に検討が必要なポイント

日経産業新聞 2017年5月11日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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