実証段階から実用化段階へと進化するAI

「同僚はデジタルレイバー」第23回 - 生産現場だけではなくホワイトカラーの担う業務も対応できつつあるAIについて、現時点での可能性を考察する。

生産現場だけではなくホワイトカラーの担う業務も対応できつつあるAIについて、現時点での可能性を考察する。

人工知能学の権威である米未来学者のレイ・カーツワイル氏は、2030年までに人間のように物事を考えることができる人工知能(AI)が誕生し、45年までにはシンギュラリティー(技術的特異点)がおこると予測している。
シンギュラリティーとは、全人類に匹敵するような超知能ができる時点のことである。AIをはじめとしたデジタル技術の進歩により、生産現場だけではなくホワイトカラーが担ってきた業務も自動化が可能になってきているが、はたして現時点ではどのようなことが可能なのであろうか。

自然言語処理を行う手法の1つである「word2vec」が注目を集めている。word2vecとは、米グーグル社の研究者であるトマス・ミコロフ氏らが提案した自然言語処理の手法だ。単語をベクトル化して表現する定量化手法であり、従来のアルゴリズムよりも飛躍的な精度向上を可能とする。簡単に言えば、単語をベクトル化し、空間内で単語の関係をベクトルとして表現する。
この手法を活用し、最大2万文字までの文章を数秒で200~1000文字に要約することが可能なテクノロジーがあり、対応可能な言語は日本語から欧米の言語など幅広い。また、文章内で最も重要な単語やフレーズを選択し、重要性が高いキーワードを抽出することも可能である。このテクノロジーを活用すると、コールセンターやヘルプデスクにおける質疑応答、人事や経理関連の問い合わせ対応、社内文書の検索などの効率化、取材記事や議事録などの作成、本・雑誌・動画・映画などの書きおこし、契約書の確認などの業務で自動化が可能になると推測できる。

これらの取組みは、今後加速度的な速さで様々な取組みテーマに対し実証作業が実施されると推測する。そしてAIは実証段階から実用化段階へと進化し、人が本来すべき付加価値業務を実施できる時間を創出することが可能となる。AIはある機能に特化した高機能な道具である。現段階ではこの道具の本質を正しく理解しいかに活用するのか、そして何を検証するのかを見極めて、検証作業を実施することがポイントとなる。

言葉を理解するWord2vecの仕組み

言葉を理解するWord2vecの仕組み

日経産業新聞 2017年5月10日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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