IASB、「不利な契約 - 契約履行のコスト(IAS第37号の修正)」を公表

IASB、「不利な契約 - 契約履行のコスト(IAS第37号の修正)」を公表

ポイント解説速報 - 国際会計基準審議会(IASB)は、2020年5月15日に「不利な契約 - 契約履行のコスト(IAS第37号の修正)」を公表しました。本修正は、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に規定される不利な契約の判断をする際に、契約履行のコストにどのようなコストを含めるべきかを明らかにするために修正を加えるものです。

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ポイント

本修正は、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に関して、以下の修正を行うものです。

  • 不利な契約の判断において、契約履行のコストとは、契約に直接関連するすべてのコストを意味することを明確化する。
  • 契約に直接関連するコストを例示する。
  • IAS第37号第69項を改訂し、不利な契約に対する引当金を計上する前に企業が減損損失を認識する対象を、「当該契約に専用の資産」ではなく「当該契約の履行に用いる資産」とする。

I. 修正の経緯

不利な契約はIAS第37号の中で、契約による債務を履行するための不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を上回る契約と定義されている。また、契約による不可避的なコストは、契約から解放されるための最小の正味コストを反映し、それは1.契約履行のコストと、2.契約不履行により発生する補償又は違約金のいずれか低い方とされている。しかしながら、修正前のIAS第37号は契約履行のコストにどのようなコストが含まれるかを明らかにしていなかった。

IFRS解釈指針委員会(IFRS-IC)は、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、IAS第11号「工事契約」が廃止され、2018年1月1日以降開始する報告期間から工事契約に関連する不利な契約がIAS第37号により会計処理されることになったことを契機として、特に工事契約に関して契約履行のコストにどのようなコストが含まれるか明らかにすべきであるとの要請を受けた。

この点IFRS-ICは、契約履行のコストの範囲に関する異なる見解が存在することで、同種の契約を持つ企業間においても、財務諸表の重大な相違が生じる可能性があると考えていた。

II. 修正の内容

(1)契約履行のコスト
先述のように、IAS第37号の中で、不利な契約は、契約による債務を履行するための不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を上回る契約と定義されている。また。契約による不可避的なコストは契約から解放されるための最小の正味コストを反映し、それは1.契約履行のコストと、2.契約不履行により発生する補償または違約金のいずれか低い方とされている。
本修正では、契約履行のコストとは契約に直接関連するすべてのコストであるとし、次の両方で構成されるとされた。

  • 契約を履行するための増分コスト(例えば、直接の労働および財)
  • 契約の履行に直接関連して配分されるその他のコスト(例えば、契約履行のために使用される、ある有形固定資産に係る減価償却費の配分など)

 

(2)IAS第37号第69項の修正
IAS第37号第69項は、企業が不利な契約の引当金を設定する前に「当該契約の履行に用いる資産」で発生した減損を認識することを要求している。修正前のIAS37号第69項では「当該契約に専用の資産」とされていた。「専用の」という用語は、その契約のみで、他の契約では使用されない資産に適用されると読めるため、当該箇所を修正し、契約が不利であるかどうかを評価する際にコストが考慮されるすべての資産に適用されることを明確にしている。

III. 適用について

この修正は、2022年1月1日以降に開始される年次報告期間に適用され、修正が最初に適用された年度の期首時点に存在する契約に適用される。比較情報の修正再表示は認められておらず、当初の適用日における累積的な影響は、利益剰余金またはその他の資本の構成要素に対する期首残高の調整として認識される。早期適用は可能であるが、その場合はその事実を開示しなければならないとされている。

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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニアマネージャー 石田 博士

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