コロンビア税制改正案
2018年10月31日、現状の財政赤字の削減努力の一環として、歳入の増加を目的とした法案がコロンビア議会に提出されました。当法案は、2018年度の末日までに承認される見通しです。
2018年10月31日、現状の財政赤字の削減努力の一環として、歳入の増加を目的とした法案がコロンビア議会に提出されました。
VATに関する措置、法人所得税の引き下げ、投資インセンティブを含むコロンビアの税制改正案の概要
当法案により、法人所得税も33%から30%まで引き下げられることとなり、また、投資、経済成長及び雇用を優遇税制も付与されることとなります。
当法案は、2018年度の末日までに承認される見通しです。(2018年12月21日に税制改正案は国会で承認されましたが、付加価値税については現行制度が継続されるなど以下の内容から大きく変更となっている個所もあります。承認された税制改正については後日案内いたします。)
VATに関する措置
当法案により、2021年までにVAT率は17%まで引き下げられることとなりますが、コロンビア政府は、(VAT率を引き下げる措置にかかわらず)VATの課税対象となる項目を拡大し、低所得者層を主に対象とした例外措置及び免税措置を廃止することによるVATの課税を通じて、歳入の増加を図っています。
また、当法案により、非居住者に対するVATの徴収規則も改正され、電子またはデジタル・サービス及び無形資産への対価が支払われる際に、銀行はVATの源泉徴収を選択することが認められるようになります。
その他、資本財に対して支払われるVATのうち、VAT納税者の所得税から控除することが認められる金額を定めた措置もあります。
法人所得税の引き下げ、その他の税制措置
当法案により、2022年までに法人所得税率は33%から30%まで徐々に引き下げられることとなります。あるコロンビア法人から他のコロンビア法人への配当に対する5%の源泉徴収税も導入されます。
当法案により、2021年までに「推定純資産」に対する所得税率が廃止されるものとみられますが、これが恒久的な廃止となるのか、または単に現行の3.5%課税が一時的に停止し、2022年に再度復活して適用されることとなるのかは不明確です。
また、非課税または課税が繰り延べとなる組織再編が行われた企業の株式を2年以内に処分した際に課される30%の追徴税率が廃止されます。
国際税務に関する改正案
当法案により、コロンビアの以下の国際税務に関する規則の一部も改正されることとなります。
- 配当金に対する源泉徴収税率が5%に据え置かれる一方で、ロイヤルティ及びサービスに対する源泉徴収税率が(15%から)20%に引き上げられ、マネジメントフィーの支払いに対する税率が33%に引き上げられます。
- 支店の税制が現行の帰属地別のシステムから全世界的なシステムに改正され、支店に帰属する金融費用の損金算入を否認する措置が導入されます。
- コロンビア法人の株式の間接譲渡へに対する課税。ただし、当該株式が認可及び規制を受けている証券取引所で取引されている場合、またはコロンビア資産が売却される外国法人の総資産価値の20%以下の場合には例外が認められます。
- 外国子会社(CFC: controlled foreign company)の能動的(経済実態のある事業から得る)所得(active income)がCFCの総所得の80%に達する場合には、(コスト及び費用を考慮した後の)そのすべての所得が能動的所得とみなされることとなります。
- 外国からの配当金、外国子会社株式の売却及びCFC株式について非課税を認めることにより多国籍企業を誘致する新しい持株会社制度が導入されます。
その他の改正
当法案により、以下も認められます。
- 所得をもたらす活動に起因する税金の損金算入
- 工業・商業税(ICA)及び金融取引税(GMF)の50%の所得税額控除
- 税務当局が財及びサービスの国内販売について独立企業間の評価を要求する権限
当法案により、次の一部のインセンティブの改正や導入も行われます。そのインセンティブとは、(1)所得税率の引き下げ、加速償却、及び「メガ投資」に対する配当金の源泉徴収税の免除、(2)「紛争地帯」での公共事業プロジェクトに関与する民間投資に対する税額控除、(3)ハイテク関連投資については5年間、農業関連投資については10年間の「免税期間(tax holiday)」、及び(4)新設または「著しい改装」ホテルに対する9%の所得税率(20年間適用)です。
本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。