ブロックチェーンの信頼の仕組みと限界

ブロックチェーンの信頼の仕組みと限界

「ブロックチェーン活用術」第4回 - ブロックチェーンの本質的な価値と、その信頼の限界について解説する。

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ブロックチェーンの価値

ブロックチェーンとは何か。非中央集権で特別な管理者が不要であり、耐障害性が高く、改ざんしにくく、安価にシステムが構築できるなど、いくつかの具体的な「特徴」がよく挙げられる。しかし、本質的な価値は、情報共有および相互監視に起因する「仕組みによる信頼の創成」である。ブロックチェーンで取引に関する契約の内容を自動で実行する「スマートコントラクト」やブロックチェーンに情報を書き込む権利を与える「コンセンサスアルゴリズム」といった要素技術は、信頼を補強する仕組みであると言える。
ブロックチェーン誕生以前は、取引相手に対しては、自身の経験や関係性、権威のある第三者の管理といった事象を背景に間接的に信頼せざるを得なかった。一方、ブロックチェーンは仕組みに対して信頼することができるため、信頼の所在を他の何かに求める必要はなくなる。この仕組みこそが、ビットコインをはじめとする仮想通貨を法定通貨と交換可能な「通貨」にまで昇華させるに至った理由だ。

ブロックチェーンの信頼

ただ、ブロックチェーンを取引に使用すれば、どんな取引にも信頼が創成されるわけではない。ブロックチェーン自体は台帳管理の仕組みであり、台帳に書き込まれた情報に対して信頼は作れても、台帳の情報と実際の取引が異なる事態は起こり得る。言い換えれば、ブロックチェーンが作る信頼は、台帳に記載された後の情報に対してであり、ブロックチェーンに書き込む前の情報や情報と実際のモノ・行動のつながりに対して信頼を創成する仕組みではない。
ブロックチェーンのみで作ることができない信頼は、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や認証システムなどのテクノロジーで補完する必要がある。これはブロックチェーンと比較される既存技術のデータベースシステムを使用した場合と何ら変わらない。
ブロックチェーンに対する過大評価とも言える誤解が、導入での失敗や失望を招いてしまった事例を散見する。
表層的な技術の特徴のみに目を奪われることなく、得られる価値と得られない価値を適切に見極め、必要な対応を漏れなく行うことが、ブロックチェーンという先端技術によるデジタルトランスフォーメーション(事業変革)成功の要諦である。

ブロックチェーンが作る信頼の範囲
ブロックチェーンが作る信頼の範囲

執筆者

KPMGコンサルティング
シニアマネジャー 宮原 進

日経産業新聞 2018年11月6日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

ブロックチェーン活用術

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