デジタルレイバー導入でホワイトカラーも自動化される時代に

「同僚はデジタルレイバー」第1回 - AI・ロボットなどのデジタルレイバーと共存し、日本が発展していく方法について、24回にわたり考察する。

AI・ロボットなどのデジタルレイバーと共存し、日本が発展していく方法について、24回にわたり考察する。

「自動化・機械化により雇用がなくなる」─。英オックスフォード大学のオズボーン准教授の調査によると、47%の雇用が自動化・機械化される。人工知能(AI)をはじめとしたデジタル技術の進歩により、ホワイトカラー業務も自動化が可能になってきている。新たな労働者である「デジタルレイバー」が出現し、今までの仕事を代替していくのである。

経済産業省が2016年4月に出した「新産業構造ビジョン 中間整理」では、AI・ロボットを活用した付加価値・生産性向上策を実施しない場合、2030年には、実施した場合と比べて国内の労働人口の減少分よりはるかに多い、574万人の雇用と222兆円の国内総生産(GDP)が減少すると試算している。言い換えると、AI・ロボットなどのデジタルレイバーをうまく活用することができれば、仕事の内容・質は変わるが、高い成長と共に雇用は維持されるということである。47%のなくなる雇用とは、雇用そのものではなく現在の仕事であり、仕事の種類が変わって雇用は維持される。昨今、働き方改革について議論されているが、生産性の議論なしに労働時間を制限することだけでは早晩手詰まりになる。

従業員の業務をソフトウエアで自動化するデジタルレイバーの1つの形態であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)が、国内企業にも浸透し始めている。RPAは、企業における経理財務・人事・営業事務・顧客関連業務などの、従来は人間にしかできないと考えられてきた業務を人間に成り代わって実行する。RPAができる仕事はRPAに任せることで、労務問題の解決や、本当に人間でなければできない付加価値の高い仕事へのシフトができ、品質を高めながら労働時間を削減することも夢ではない。

本連載においては、デジタルレイバーと共存し、日本が発展していくためのヒントを提示していきたい。

2030年の雇用と従業者数

2030年の雇用と従業者数

(出所)経済産業省「新産業構造ビジョン」中間整理(2016)

日経産業新聞 2017年3月30日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日本経済新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

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