賃上げ及び投資の促進に係る税制(Tax Credits for Acceleration of Wage Increases and Capital Investment)
賃上げ及び投資の促進に係る税制とは、国内設備投資や人材投資、持続的な賃上げを促す観点から、十分な賃上げや設備投資を行った企業について賃上げ金額の一定割合の税額控除を認める制度である。
賃上げ及び投資の促進に係る税制とは、国内設備投資や人材投資、持続的な賃上げを促す観点から、十分な賃上げや設備投資を行った企業について賃上げ金額の一定割合の税額控除を認め ...
Article Posted date
27 August 2021
制度の概要
1.大企業
適用期間
2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度
(設立事業年度、解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)
要件
(a) | 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 |
---|---|
(b) | 継続雇用者給与等支給額 ≧ 継続雇用者比較給与等支給額×103% |
(c) | 国内設備投資額 ≧ 当期償却費総額×95%※ |
(d) | その事業年度の教育訓練費の額 ≧ 比較教育訓練費の額×120% |
※ 2020年3月31日までに開始する事業年度については、90%
税額控除限度額(法人税額の20%が上限)
要件(a)(b)(c)のみ を満たす場合 |
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×15% |
---|---|
全ての要件 を満たす場合 |
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×20% |
2.中小企業者等
適用期間
2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度
(設立事業年度、解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)
要件
(a) | 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 |
---|---|
(b) | 継続雇用者給与等支給額 ≧ 継続雇用者比較給与等支給額×101.5% |
(c) | 継続雇用者給与等支給額 ≧ 継続雇用者比較給与等支給額×102.5% |
(d) | 以下のいずれかを満たすこと |
(i)その事業年度の教育訓練費の額 ≧ 中小企業比較教育訓練費の額×110% | |
(ii)その事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと |
税額控除限度額(法人税額の20%が上限)
要件(a)(b)のみ を満たす場合 |
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×15% |
---|---|
全ての要件 を満たす場合 |
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×25% |
用語の意義
雇用者給与等支給額 | 国内雇用者に対する給与等の支給額で、法人の各事業年度(適用年度)の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの(他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額) |
---|---|
比較雇用者給与等支給額 | 国内雇用者に対する給与等の支給額で、前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの(他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額) |
国内雇用者 | 法人の使用人(役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く。)のうち、その法人の国内の事業所に勤務する雇用者として、労働基準法に規定する賃金台帳に記載された者 |
継続雇用者給与等支給額 | 継続雇用者に対するその適用年度の給与等支給額 |
継続雇用者比較給与等 支給額 |
継続雇用者に対する前事業年度等の給与等支給額 |
継続雇用者 | 以下のいずれにも該当する国内雇用者
|
国内設備投資額 | 法人が適用年度において取得等をした国内資産で、その適用年度終了の日において有するものの取得価額の合計額 |
国内資産 | 国内事業の用に供する棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち以下のもの(時の経過によりその価値の減少しないものを除く。) (1)建物及び建物附属設備、(2)構築物、(3)機械装置、(4)船舶、(5)航空機、(6)車両運搬具、(7)工具及び器具備品、(8)一定の無形固定資産、(9)一定の生物 |
当期償却費総額 | 法人がその有する減価償却資産につき適用年度の償却費として損金経理をした金額(前事業年度の償却超過額等を除き、特別償却準備金として積み立てた金額を含む。) |
教育訓練費 | 法人がその国内雇用者の勤務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用 |
その事業年度の 教育訓練費の額 |
その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額(他の者から支払いを受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額) |
比較教育訓練費の額 | 適用年度開始の日前2年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額(他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)の合計額を、その各事業年度の数で除して計算した金額 |
中小企業比較 教育訓練費の額 |
中小企業者等の適用年度開始の日前1年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額(他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額)の合計額を、その各事業年度の数で除して計算した金額 |
参考
外形標準課税の対象法人が、2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度(解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において以下の全ての要件を満たす場合には、一定の控除額を、付加価値割の課税標準である付加価値額から控除することができる。
要件
(a) | 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額 |
---|---|
(b) | 継続雇用者給与等支給額 ≧ 継続雇用者比較給与等支給額×103% |
(c) |
国内設備投資額 ≧ 当期償却費総額×95%※ |
※ 2020年3月31日までに開始する事業年度については、90%
控除額
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×(収益配分額-雇用安定控除額)/収益配分額 |
- 「収益配分額」とは、付加価値額のうち、報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額をいう。
- 「雇用安定控除額」とは、雇用安定控除(報酬給与額が収益配分額の70%を超える場合に、付加価値額からその超える部分の金額を控除することができる制度)における控除額をいう。