アルゼンチン:国外居住者が得た株式および負債性金融商品の所得に係る源泉税

税務決議であるAFIP(公共歳入連邦管理庁)一般決議第4227号(2018年4月12日)が官報で公表され、国外居住者たる受益者による、投資で得た金融収益に関連する所得税の源泉徴収とその納税額に関する規則を定めました。

税務決議であるAFIP(公共歳入連邦管理庁)一般決議第4227号(2018年4月12日)が官報で公表され、国外居住者たる受益者による、投資で得た金融収益に関連する所得税の ...

この決議には、売手と買手が共に国外居住者たる受益者である場合の、株式売却から得たキャピタル・ゲインの所得税支払に関する規則も含まれます(2013年9月以降に発生した売却について)。

Resolucion General 4227(Spanish)をご参照ください。)

背景

2017年の税制改正において、国外居住者たる受益者(アルゼンチンに居住していないことが条件)が得た収益であり、かつ、その元金が非協力的管轄地域を源泉としないものについては、以下の場合、免税となります。

  • 当該収益が、アルゼンチン証券取引委員会(CNV)の監督下において、証券取引所または株式市場で公に取引されている株式の売却により得た収益
  • 当該収益が、公債、譲渡可能負債証券またはアルゼンチンに居所または住所をもつ企業が発行した国外発行株式の預託証券(米国預託証券など)の売却によって得たキャピタル・ゲインまたは利息収入。米国預託証券の場合、新たな規則において、収益の源泉地は株式の原発行体の所在地によって判断されます。

なお、LEBACS(アルゼンチン中央銀行が発行する債券)から得た収益は当該免税対象にはなりません。税制改正に関する法規制:TaxNewsFlash-Americasをご一読ください。

法令第279/2018号は、2017年税制改正の規定に従って、国外居住者たる受益者が得たアルゼンチン国内源泉の金融収益に関する税務上の取扱いについて定める目的で2018年4月初旬に公表されました。TaxNewsFlash-Americasをご一読ください。

投資にかかる利息または収益

一般決議第4227号は、国外居住者たる受益者へ支払を行う際に、アルゼンチンの個人または法人(金融商品の種類による)に係る税金の源泉徴収および納税の要件を定めています。これらの目的における個人または法人は、(金融商品ごとに)以下のように定義されています。

  • 金融機関への預金:銀行
  • アルゼンチン中央銀行債券(LEBACs):有価証券を保管(保有等)する企業
  • 公社債およびその他の有価証券:当該証券の利息を支払う、決済する、または収益を得る個人または法人
  • ミューチュアル・ファンドの株式:資産管理受託会社

源泉徴収金額および当該推定所得は、前述のように、法令第279/2018号(2018年4月9日公布)に従って定められます。
源泉徴収はAFIP一般決議第3726/2015号(2015年1月26日公布)で定められた期日のスケジュールに従って、「統合電子源泉徴収システム(SIRE)」により納税されます。

有価証券の売却 - 株式、債券、公社債、LEBACs、その他

一般決議第4227号は、株式、債券、公社債、LEBACsおよびその他の金融商品に関して、源泉徴収義務者としての役割を果たす個人または法人を定めるとともに、源泉徴収額の計算方法、税務行政法規および源泉徴収税の納税規則も定めています。当該源泉徴収義務者たる個人または法人は、以下のガイドラインに準拠することになります。

  • 有価証券を取得するアルゼンチン居住者は、関連する海外への支払を行う際に、所得税の源泉徴収義務者となります。
  • LEBACS、社債、株式およびその他のアルゼンチン証券委員会の承認に基づく公募による有価証券(法律に基づき免税される可能性のあるもの)の場合は、当該有価証券の保管を行う法人が所得税の源泉徴収義務者となります。
  • ミューチュアル・ファンドの株式の場合は、資産管理受託会社が源泉徴収義務者となります。
  • 有価証券が国外の個人または法人によって取得されると、税金は国外居住者たる受益者のアルゼンチン国内の法定代理人によって支払われます(売手)。該当する法定代理人が不在であれば、税金は国際電信送金により国外居住者たる受益者によって支払われることになります。
  • 源泉徴収税額は、所得税法(改正税法および法令第279/2018号により改正)に基づいて設定された税率を、(1)有価証券に支払われる総額の90%、または(2)実際の純収入額の、いずれかに乗じることにより決定されます。源泉徴収の対象となる実際の純収入額を決定するために選択する国外居住者たる受益者は、この選択を源泉徴収義務者または法定代理人に適切に報告するとともに、取引に関する売却の仮契約、または、取得とその後の有価証券の売却の事実を証明するに足るその他の書類を提出し、さらに、いかなる関連の調整を含む算出可能な取得原価の計算を示す証拠についても提出しなければなりません。

源泉徴収税は、以下の方法でアルゼンチン政府に納税します。

  • アルゼンチン居住の源泉徴収義務者または国外居住者たる受益者の法定代理人による納税の場合、当該納税はSIREを通して行われる必要があります。
  • 国外居住者たる受益者によって直接納税される場合、米ドルまたはユーロで国際電信送金により当該取引日から10営業日目の午前12時(アルゼンチン時間)までに納税されなければなりません。当該海外送金および国内送金に伴って発生した経費と手数料は、その送金を行った個人または法人が負担することになります。

国外居住者たる受益者 - 非協力的管轄地域

受益者が「非協力的」管轄地域に居住する場合、またはファンドが非協力的管轄地域から投資を受けた場合に、個人または法人は、収益の種類および改正税法規定および法令第279/2018号の定めに基づいて、「推定純収入」の35%に相当する金額を一括払いで源泉徴収することになります(例えば、納税者は推定純収入および実際の純収入間いずれかを選択することはできない)。
この源泉徴収税は先述の手続に従って納税されます。

2013年9月以降に行われた取引

2013年9月から改正税法の施行日までに国外居住者たる受益者が行った取引に係る税金は、一般的に以下の手続に従って2018年6月11日から13日の間に支払われることとなります。

  • アルゼンチンの証券取引所または市場を通じて取引が行われなかった場合、および株式市場を通じて取引が行われたが決済代行機関が源泉徴収を行っていた場合、取引に係る税金は、SIREを通じて納税されなければなりません。
  • 国外の個人または法人による資産取得を含む取引に係る税金は、国際電信送金を通じて納税されなければなりません。2018年1月1日以降、買手および売手が国外の個人または法人の場合に、売手(受益者)が当該源泉徴収税の納税に関して単独で責任を負うことになります。2018年1月1日から5月31日までに行われた、または行われる予定の取引について、売手はアルゼンチン居住者たる法定代理人を指名するか、または国際電信送金(先述のガイドラインに従う)により納税することになります。

KPMGの見解

アルゼンチンの金融商品(例えば有価証券、債券、株式、ミューチュアル・ファンド、その他)に投資を行うことを決定した多国籍企業は、2017年12月下旬の改正税法により導入されたアルゼンチン税法の改正点を考慮して、一般決議第4227号を遵守しなければなりません。

英語版につきましては下記よりご参照ください。
Argentina: Withholding tax, income of foreign beneficiaries; Argentine shares, debt instruments

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