貿易・関税に関する最新情報(輸出入関税、e-ATIGA、フォームD、等)

本ニューズレターでは貿易・関税に関する最新情報(輸出入関税、e-ATIGA、フォームD、等)について説明します。

本ニューズレターでは貿易・関税に関する最新情報(輸出入関税、e-ATIGA、フォームD、等)について説明します。

輸出入関税に関する最新情報

Decree 122/2016/ND-CP(各種輸出入関税に関する政令)の改正を目的として、2017年11月16日に発行されたDecree 125/2017/ND-CPが2018年1月1日から有効となります。
主なポイントは以下のとおりです。

  • 輸出関税税率表における一般品目番号211に対する輸出税適用の明確化:
    一般品目番号211の製品に対する現行5%の輸出課税の適用条件が明確になりました。今回の輸出入関税の改正Decreeでは、天然資源、鉱物及び燃料の合計額がその製品の価格の51%以上を占める場合、5%の輸出税が適用されます。
  • 最恵国待遇(MFN)輸入関税の更新:
    最恵国待遇(MFN)輸入関税は、ベトナム政府のWTOとの取り決めに従って、ASEAN統一関税品目分類(AHTN) 2017に合わせた変更を行っています。
  • 中古自動車に対する輸入関税の増加:
    厳格な非関税障壁に加えて、中古車に対する輸入関税を増税します。
  • 現地組立自動車に対する税優遇:
    2018年から2022年まで、自動車の完全現地組み立て生産方式(CKD)のための輸入部品は、安全性基準およびエコフレンドリー基準、部品が分割されている程度、最低生産台数など当Decreeで規定されている一定条件を満たした場合、輸入税が0%になります。これは、ベトナムに組立工場を建設する自動車業界に対する優遇政策と考えられます。
  • 割当外輸入物品の関税率の明確化:
    今回の政令改正で、輸入割当措置に基づく物品への輸入関税適用が明確になります。

原産地証明フォームDの電子化 - シンガポールおよびベトナムで適用

2015年9月4日にASEAN加盟国10カ国が署名した「ASEANシングルウィンドウ(ASW)を導入することを目的とした法的枠組みに関する議定書」に基づき、インドネシア、マレーシア、シンガポール、ベトナム間の国際貿易に関与している企業の原産地証明フォームD(Certificate of Origin, C/O フォームD)を電子交換するための、ASWに関する通達をシンガポール政府は発行しました(Circular No. 15/2017)。
その通達によると、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)に記載されている原産地に関する条件を満たすシンガポールからの輸出品は、以下のように対処されます。

  • シンガポールの原産地証明電子化システムから、ASWを導入する準備が整っている輸入国へC/O フォームDが電送されて付与されます(ナショナルシングルウィンドウ(NSW)経由)
  • 輸入業者はその輸入国で適用されるATIGA輸入関税優遇を請求することができます。

電送されたC/OフォームDを「e-ATIGAフォームD」と呼びます。
ベトナムの原産地証明手続きについて、商工省(ベトナムにおけるFTAの原産地証明付与を担当)は電子化優先原産地証明書の発行手順を公布するDecision No. 2412/QD-BCTを2016年6月15日付けで発行し、最近e-ATIGAフォームDに適用する機能がベトナムのNSWに追加されました(2018年1月1日より正式導入)。

ASEAN - 香港(中国)自由貿易協定及び投資協定

ASEANと香港は2017年11月12日付けで以下の二つの協定を締結しました。

  1. ASEAN - 香港 - 中国自由貿易協定(AHKFTA)
  2. ASEAN - 香港投資協定(AHKIA)

上記二つの協定により、香港 - ASEAN諸国間の貿易関係が拡大され、その地域における貿易および投資へのアクセスがし易くなります。

貿易円滑化対策により、ベトナムの輸出入取引高が新しいマイルストーンを達成

ベトナム税関総局は、2017年12月19日に商品輸出入取引高の新しいマイルストーン達成を記念して祝賀会を開催しました。取引高は6年間で2倍の4,248.7億米ドルを達成しました。
この発展はベトナム政府が導入した貿易円滑化政策、特にアジア太平洋地域において複数の自由貿易協定を締結、実施された結果であると貿易専門家たちは言及しております。

産業別の新しい規制の導入

繊維産業
国の技術的規制を定めたQCVN01:2017/BCTが2017年10月23日にベトナム商工省から発行され、繊維製品メーカー、貿易業者、輸入業者は留意が必要です。これは、ベトナムでの取引前に、繊維製品に含まれるアゾ着色剤から発生するホルムアルデヒドや特定の芳香族アミンの含有量について規制しています。
当該規制に従って、QCVN01:2017/BCTの付属資料 I で規定されている繊維製品は、ホルムアルデヒドや芳香族アミンの含有量が記載されている上限に適合していなければなりません。
規制対象となる繊維製品は、国内市場で取引実施前にその適合性が公表され、かつ適合ラベル(CRラベル)が表示されていなければなりません。適合性の公表およびCRラベルの適用は、科学・技術省が発行するCircular No.28/2012/TT-BKHCNおよびCircular No.02/2017/TT-BKHCNに記載されている関連規制に従わなければなりません。
私物、外交団体および個人の免税枠内の物品、輸送中の物品、展示用に一時的に輸入された物品、サンプル等の特定の分類についてはこの規制が免除されます。
国の技術的規制であるQCVN01:2017/BCTは2018年5月1日から有効となる予定です。

化学薬品産業
ベトナム政府は、化学薬品の管理に関するDecree No. 108/2008/ND-CP及びDecree No. 26/2011/ND-CPを差し替えるために、2017年10月9日に新しい政令(Decree 113/2017/ND-CP)を発行しました。この政令は2017年11月25日に有効となり、ベトナム国の領域内で化学薬品関連の活動を行うかそれに関与する事業体に適用されます。
Decree 113/2017/ND-CPには、化学薬品の生産および取引における安全性に関する一般規定、条件付き工業薬品の一覧表、そのような化学薬品を生産および取引することを目的とした在留資格認定証明書の申請要件および手順、禁止・有害化学薬品の一覧表、生産・取引が規制される工業薬品の一覧表、化学薬品の申告および化学薬品に関する情報の管理に関するガイドライン、化学薬品の安全性に関する訓練コースなどが記載されています。

ベトナムの特別優遇輸入関税の新しい品目分類表

ベトナム政府は、各国と締結する自由貿易協定で取り決められているベトナムの特別優遇輸入関税に係るコミットメントを実施するために、8つの政令を発行しました。それら8つの政令は2018年1月1日に有効となり、2018年から2020年まで適用されます。ただし、Decrees No. 155 および No. 160については2018年から2023までの間の適用となります。以下はそれらの政令の一覧です。
 

  Decree No. Related FTA Period
1 Decree No.150/2017/ ND-CP
Vietnam - Eurasia Economic Union Free Trade Agreement (VN-EAEU FTA) 2018-2022
2 Decree No.153/2017/ ND-CP Agreement on Trade in Goods signed with the ASEAN and China 2018-2022
3 Decree No.154/2017/ ND-CP Vietnam - Chile Free Trade Agreement (VCFTA) 2018-2022 2018-2022
4 Decree No.155/2017/ ND-CP Vietnam - Japan Economic Partnership Agreement (VJEPA) 2018-2023
5 Decree No.156/2017/ ND-CP ASEAN Trade in Goods Agreement (ATIGA) 2018-2022
6 Decree No.158/2017/ ND-CP Agreement Establishing the ASEAN - Australia - New Zealand Free Trade Area (AANZFTA) 2018-2022
7 Decree No.159/2017/ ND-CP ASEAN - India Trade in Goods Agreement (AIFTA) 2018-2022
8 Decree No.160/2017/ ND-CP ASEAN - Japan Comprehensive Economic Partnership Agreement 2018-2023

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