現在までに完了した履行に対する支払を受ける権利(IFRS第15号関連) - IFRICニュース2018年3月 - アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2018年3月) - 現在までに完了した履行に対する支払を受ける権利(IFRS第15号関連)については、2018年3月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

現在までに完了した履行に対する支払を受ける権利(IFRS第15号関連)については、2018年3月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

関連IFRS

IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」

概要

不動産ユニット(集合住宅の一単位)の販売契約に関して、収益を一定期間にわたり認識すべきか、一時点で認識すべきか。具体的には、IFRS第15号第35項(c)に規定されている「現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利」を有しているか。

前提条件は以下の通り

  • 不動産ユニットを建設する前に、販売契約を締結する。
  • 当該販売契約に基づく企業の履行義務は、完成した不動産ユニットを引き渡すことであり、企業は建設が完了後に顧客が購入価格を支払うまで、不動産ユニットに対する法的所有権を保持する。
  • 顧客は契約開始時に不動産購入価格の10%を支払い、建設完了後に残りを支払う。
  • 顧客は建設完了前は、いつでも契約を解約する権利を有している。顧客が契約を解約する場合、企業は第三者に再販売するための合理的な努力を行うことが法的に要求されている。再販売の際、企業は第三者と新たな契約を締結する。第三者から得られる再販売価格が当初の販売価格(販売コストを加算)を下回る場合、顧客は差額を支払う法的な義務がある。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2017年11月及び2018年3月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IFRS第15号第35項(c)に規定されている「現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利」を有するためには、現在までに完了した履行について顧客から補償を受ける権利を企業が得ていなければならず、その金額は現在までに移転した財・サービスの販売価格に近似した金額であり、企業の潜在的な利益の喪失だけに対する補償ではない。
  • 企業が再販売契約において第三者から受け取る対価は、当該再販売契約に係る対価であり、当初の顧客との契約に基づく履行に対する支払ではない。
  • 本件において企業が権利を有している顧客からの支払の性質は、第三者への再販売価格と当初の販売価格(販売コストを加算)との差額に対する支払である。当該支払は、契約の存続期間中のすべての時点において、少なくとも部分的に建設された不動産ユニットの販売価格に近似する金額に対する権利を企業に与えるものではないので、現在までに完了した履行に対して企業に補償するものではない。
  • よって、IFRS-ICは本件における不動産ユニットの販売契約はIFRS第15号第35項(c)に規定されている「現在までに完了した履行に対する支払を受ける強制可能な権利」を有していないと結論を下した。

IFRS-ICは、2018年3月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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