輸入貨物にFTA税率を適用するためには、通常輸入通関時に、原産地証明書を税関に提出する必要があります。輸出者あるいは生産者は、原産地証明書の内容を裏付ける関連書類を一定期間保存する義務があり、輸入国の当局から原産地規則の整合性の確認(検認)要請があった場合にはその対応が必要となります。
原産地証明手続きには、以下の3類型があります。
各FTA協定において、貨物の生産者または輸出者はその原産性を立証するための根拠資料を保存することと定められています。保存期間については以下の通り、3年から5年の保存義務が課されています。
5年間の保存義務が課されている協定 | 4年間の保存義務が課されている協定 | 3年間の保存義務が課されている協定 |
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日米貿易協定については、保存義務期間について明記されておらず、日本と米国のそれぞれの国内法令に基づく5年間の保存義務が課されることとなります。
「検認」とは、輸入通関後に対象貨物が原産品であったか否かについて、輸入国税関当局が調査を通じて確認を行うことを言い、FTA税率による便益の適正な確保を目的とされています。輸入国にて税関当局より輸入者に対して書面または個別訪問を通じた調査を行い、必要に応じて輸出者または生産者に対しても原産品であることの情報提供依頼がなされることがあります。これらの調査を通じて税関当局側が原産品であることを確認できない場合には、FTA税率の適用が否認され、場合によっては過少申告加算税などのペナルティが課されることもありますので、検認が行われた際には迅速かつ適切に対応を行う必要があります。検認は、輸入国当局が直接輸出者に対して行う「直接検認方式」と、輸入国当局が輸出国の当局に対して検認を依頼する「間接検認方式」に大別されます。
KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 神津 隆幸
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