役員給与のうち一定の業績連動給与に該当するものは、法人税法上、損金算入が認められる。ただし、一定の業績連動給与に該当する給与であっても、不相当に高額な部分の金額は損金不算入とされる。
業績連動給与とは、以下のものをいう。
1. 算定方法要件
「交付される金銭の額」、「交付される株式※1・新株予約権※1の数」又は「交付される新株予約権※1の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数」の算定方法が、業績連動指標※3を基礎とした客観的なもので、次の要件を満たすものであること。
※1 適格株式(市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式で、役務の提供を受ける内国法人又は関係法人※2が発行したもの)又は適格新株予約権(その行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権で、役務の提供を受ける内国法人又は関係法人が発行したもの)に限る。
※2 関係法人とは、役務の提供を受ける内国法人の役員の職務につき支給する株式又は新株予約権による給与に係る株主総会等の決議日において、その決議日から以下に掲げる給与に係るそれぞれの日までの間、その内国法人と他の法人との間に当該他の法人による支配関係が継続することが見込まれている場合の当該他の法人をいう。
株式又は新株予約権による給与: 交付日
特定新株予約権による給与: 行使が可能となる日
※3 業績連動指標とは以下の指標をいう。
2. 支給時期要件
次の時期までに交付され、又は交付される見込みであること
3. 損金経理要件
損金経理をしていること
(損金経理により引当金勘定に繰り入れた金額を取り崩す方法により経理していることを含む。)
1. 2019年度税制改正
コーポレートガバナンスコードの改訂により、監査役会設置会社や監査等委員会設置会社において報酬決定の手法としてより客観性・透明性の高い報酬諮問委員会の活用が原則化されたこと等を踏まえ、「1. 算定方法要件」の手続について見直しが行われた。
この改正は、2019年4月1日以後に終了する手続に係る給与について適用されるが、経過措置により、2020年3月31日以前に終了する手続に係る給与については、改正前の手続も認められる。
2. 2020年度税制改正
グローバルスタンダードに沿ったコーポレートガバナンスの更なる強化の観点から、東京証券取引所の上場管理等に関するガイドラインが改正され、上場子会社における独立した意思決定を確保し、少数株主の利益を保護するため、独立役員の独立性に係る判断基準が見直されたことを踏まえ、業績連動給与の損金算入要件のうちの「算定方法要件」における独立職務執行者の範囲(独立職務執行者に該当しない親法人の業務執行者等の範囲等)について見直しが行われた。
この改正は、原則として、2020年4月1日以後最初に開始する事業年度の前事業年度に関する定時株主総会の日の翌日以後に終了する業績連動給与の算定方法についての手続に係る給与について適用される。
参考
ビジネスキーワード「特定新株予約権」「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)」
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