実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」の公表

会計・監査ニュースフラッシュ - 本実務対応報告は、権利確定条件付き有償新株予約権を発行する企業における会計処理について明らかにすることを目的としたものです。

本実務対応報告は、権利確定条件付き有償新株予約権を発行する企業における会計処理について明らかにすることを目的としたものです。

本実務対応報告は、企業がその従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を発行する場合における会計処理及び開示を明らかにすることを目的としたものである。
本実務対応報告は、ASBJが平成29年5月10日に公開草案を公表し、広くコメントの募集を行った後、寄せられたコメントを検討し、公開草案の内容を一部修正した上で公表に至っている。

ポイント

本実務対応報告の公表の背景

従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引は、企業会計基準第8号「ストック・オプション等に関する会計基準」(以下、「ストック・オプション会計基準」)の公表時において想定されていなかったことから、ストック・オプション会計基準の適用範囲に含まれるのか否かが必ずしも明確ではなかった。ストック・オプション会計基準の適用範囲に含まれるか否かで、費用処理の要否が変わりうるため、会計処理の明確化が望まれた。


会計処理及び開示

本実務対応報告では、権利確定条件付き有償新株予約権の会計処理が明確化された。主なポイントは次のとおり。

  1. 企業がその従業員等に対して権利確定条件が付された新株予約権を付与する際、従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引を対象とする。
  2. 本実務対応報告の対象とする権利確定条件付き有償新株予約権は、ストック・オプション会計基準第2項(2)に定めるストック・オプション(自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に報酬として付与するもの)に該当する。
  3. 権利確定条件付き有償新株予約権の付与に伴って従業員等から受け取る金額を、純資産の部に新株予約権として計上する。また、各会計期間における費用計上額として、権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価額から払込金額を差し引いた金額のうち、当期に発生したと認められる額を費用計上する(相手勘定は新株予約権)。
  4. 従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引については、ストック・オプション会計基準等に基づく内容を注記する。


適用時期等

  1. 本実務対応報告は、平成30年4月1日以後適用する。ただし、本実務対応報告の公表日以後適用することができる。
  2. 本実務対応報告を遡及適用するにあたり、本実務対応報告の公表日より前に権利確定条件付き有償新株予約権が権利行使され、新株を発行している場合、新たな会計方針に基づき新株予約権として計上された額のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替えたことによる払込資本の増加額は、その他資本剰余金に計上する。
  3. 本実務対応報告の適用日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引については、従来採用していた会計処理を継続できる。この場合、権利確定条件付き有償新株予約権の概要及び採用している会計処理の概要を注記する必要がある。ただし、付与日における公正な評価単価については、記載を要しない。
  4. 本実務対応報告の適用初年度において、これまでの会計処理と異なる場合及び3.を適用し従来採用していた会計処理を継続する場合、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。
  5. 本実務対応報告の公表に伴い、企業会計基準適用指針第17号「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」(以下、「複合金融商品適用指針」)について、所要の改正が加えられた上で、本実務対応報告と同日に公表された。

PDFの内容

  1. 本実務対応報告の概要
  2. 適用時期等
  3. 公開草案からの主な変更点
  4. 複合金融商品適用指針の改正の概要

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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