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KPMGフォーラム2015 - IoT時代の経営イノベーション 講演報告【特別セッション】「未来予測2016~2030」 - コンピューティング革命としての「クラウド」

講演報告 「未来予測2016~2030」 - コンピューティング革命としての「クラウド」

KPMGジャパン開催「KPMGフォーラム2015 - IoT時代の経営イノベーション」は、企業の皆様が日々向き合われている課題の解決に向けて、さらに、将来の新しい時代を切り開く付加価値の高い情報提供をすべく14年目を迎えています。

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IoT時代の経営イノベーションについて、10年先、15年先の、これから直面するであろう「未来」をテーマに、東京会場、名古屋会場、大阪会場それぞれの地域特性に応じて田中 栄氏による特別セッションが行われました。

KPMGジャパンは、去る2015年11月26日、27日 東京ミッドタウン、12月4日 ミッドランドホール(名古屋)、12月7日 ホテルニューオータニ大阪において、「KPMGフォーラム2015 - IoT時代の経営イノベーション」を開催しました。本フォーラムは、企業の皆様が日々向き合われている課題とともに、将来の新しい時代を切り開く付加価値の高い情報提供をすべく昨年大幅なリニューアルと名称変更を経て14年目を迎えています。

本年は、グローバル経営における事業戦略や人材・組織マネジメント、M&A・投資戦略、ガバナンス構築、IT戦略やセキュリティ対応、IFRSやBEPS等の会計・税務上の最新動向、各業種のメガトレンド等、様々なテーマの最新動向や事例を踏まえたテーマについて講演しました。

特に、IoT時代の経営イノベーションについては、外部の有識者の方々も交えて講演し、田中栄氏による特別セッション「『未来予測2016-2030』- コンピューティング革命としての『クラウド』」は、東京会場1日目(11月26日)、名古屋会場(12月4日)、大阪会場(12月7日)において、それぞれの地域特性に応じて行いました。

本稿では、IoT時代の経営イノベーションについて、田中栄氏による特別セッションの講演内容を広くお伝えするため、概要をKPMGジャパンがご紹介します。

I. 未来を創る3つのメガトレンド

1. 中長期戦略で必要な共通認識

田中氏は、まず今回のテーマが「未来」であり、その未来は10年先、15年先の、これから直面するであろう現実の未来であるということを説明されました。

中長期の戦略を立てるということは、半分以上は先を読むこと、つまり未来を視ることであり、戦略を創るためには、その前提となる共通認識を固めることが必要であると述べられました。今どうなっているか、そしてこれからどうなるかといった現在や将来に対する見方を一致させなければ、「その先をどうするか」という議論ができるようにはならない。それを支援するためのものが、田中氏が執筆する『未来予測レポート』であると説明されました。

『未来予測レポート』で伝えたいことは「過去の延長線上に『未来』はない」であると、強調して説明されました。

2. 未来を創る3つのメガトレンド

次に、田中氏が様々な業界の戦略立案に携わってわかったことは、「モノが足りない」ことを前提とする「サステイナビリティ」、「ゲノム」技術による「ライフ・イノベーション」、「コンピューティング革命」による「クラウド・コンピューティング」の3つがメガトレンドであり、それによって求められるビジネスも変化していると述べられました。

なかでもメインとなるメガトレンドは「クラウド・コンピューティング」であり、その理由は、「サステイナビリティ」や「ライフ・イノベーション」と異なり、あらゆる分野のビジネスに直接的な影響を与えるものであるためとの見解を述べられました。

これについて、東京、大阪ではエレクトロニクス産業におけるクラウド・コンピューティングを、名古屋では自動車産業におけるサステイナビリティとクラウド・コンピューティングを中心に、例を挙げて説明されました。


(1)サステイナビリティ
サステイナビリティとは、一言で言えば「モノが足りなくなる」ということであり、これからのビジネスの新しい前提になると説明されました。

2030年には中国に代わってインドが人口1位になり、いわば「もう1つの中国」が誕生するとしたうえで、これからは安く大量に作れば売れるという時代ではなくなり、社会全体、世界全体の枠組みを大きく変える必要が出てくると述べられました。


(2)クラウド・コンピューティング

いま、コンピューティングそのものに革命が起こっていると強調され、パソコンというモノがブロードバンドに繋がることで一気にスパコンへと飛躍的に進歩したこと、これがコンピューティングの革命であり、音声や映像がインターフェースとして本格的に使えるようになったことで、プロダクトの概念が変わったことを説明されました。

コンピューティングはモノからサービスへと変化し、それによって働き方が変わるということ、求められる能力が変わるということも述べられました。

II. ビジネス産業の変化

田中氏は、ビジネスが変わるということは業界や産業の形も変わる、ということを強調され、大きなポイントとして以下の2つを説明されました。

1. クラウドロニクス・サービス産業群

1つ目のポイントは、クラウドとエレクトロニクスが融合した「クラウドロニクス」という新しい概念が登場するということ。これを土台としてエレクトロニクス・通信・コンピューティングがひとつの大きな産業となり、様々な産業の一部がデジタルサービス化し領域が重なることで「クラウドロニクス・サービス産業群」と呼ぶべき新しい産業が形成されていくと述べられました。

2. トリプル・ベロシティ

2つ目のポイントは、商流・物流・金流という3つのビジネスの基本的な流れが、3倍のスピード、3倍のバリエーションに一気に変化することであり、クラウドによって、小売・流通のあり方、マーケティングの手法、決算手段などが一気に変わること、それらが同時多発的に変わることは、ビジネスの大前提やルールが大きく変わることを指摘されました。

コンピューティングは単なる情報端末だったものが、今や様々な分野に広がっており、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、医療/ヘルスケア、農業など、どの分野においても、根底にあるのはクラウドであると説明されました。

III. おわりに

田中氏は、「過去の延長線上に『未来』はない」ということ、その中心にあるのは「クラウドロニクス」であること、そして「社会が変われば、求められるビジネスもまた変わる」ということ、これらを理解することが非常に重要であり、10年、15年先を踏まえてそれまでにやっておかなければならないことをバックキャストで考えることが大切だと示されました。
 

講演は、過去の延長線上に未来は描けず、現在のビジネスが安定的ではないことを考えさせられる大変示唆に富んだ講演でした。

執筆者

株式会社アクアビット
代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー
有限責任 あずさ監査法人 総合研究所
未来研究室 顧問 田中 栄