社外取締役とは、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいいます。
平成24年9月7日に、法務大臣の諮問機関である法制審議会によりとりまとめられた「会社法制の見直しに関する要綱」(以下、「要綱」)では、最大の論点であった社外取締役の選任の義務付けには賛否両論があり、会社法制部会においては最後まで合意が得られず見送りとなりました。ただし、監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る)のうち、金融商品取引法第24条第1項の規定により、その発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社において、社外取締役が存しない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とすることとされ、今後の省令改正に盛り込まれる予定です。
また、次のような見直しもされる予定です。
社外性要件に、親会社等の関係者でないものであることを新たに追加することとされています。いわゆる兄弟会社の関係者でないことも要件に追加されます。これに伴い、下表のとおり、「親会社等」、「子会社等」、「兄弟会社」といった用語も新たに定義されるようです。
用語 | 定義 |
---|---|
親会社等 | 株式会社の親会社その他の株式会社の経営を支配している者として法務省令で定めるもの |
子会社等 | ある者がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該者がその経営を支配している法人として法務省令で定めるもの |
兄弟会社 | 株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く) |
社外性要件として、株式会社の関係者の近親者でないことも追加されます。当該近親者には、取締役等の近親者のほか、支配人その他の重要な使用人の近親者も含まれます。
現行法では、過去に一度でも経営者の指揮命令系統に属したことがある者は、社外取締役等の各要件を満たさないことになります(会社法2条15号、16号)。しかし、改正後は、就任前10年間における株式会社等との関係に限定されます。これについては、たとえ経営者の指揮命令系統に属していても、一定期間を置けば社外取締役等に期待される機能を果たすことができるであろうことから、社外性要件の厳格化に伴う人材確保の要請等にも配慮して見直すこととされました。
具体的には、就任する前10年間株式会社又はその子会社の業務執行取締役・執行役又は支配人その他の使用人であったことがないものであれば、要件を満たすことができるようになります。また、就任する前10年内のいずれかの時において、株式会社又はその子会社の取締役・会計参与・監査役であったことがあるものにあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任前10年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役・執行役又は支配人その他の使用人であったことがないことを要することになります。
社外監査役の要件についても同様です。
現行、社外取締役・社外監査役、会計参与及び会計監査人に認められている責任限定契約(会社法427条1項)について、業務執行取締役・執行役又は支配人その他の使用人でない取締役、すべての監査役も締結することができることになります。
また、責任限定限度額(会社法425条1項)の算定に際しても、職務執行の対価として受ける財産上の利益の額に乗ずべき数について、社外かどうかという切り口ではなく、業務執行しているかどうかで区分する考え方に変更されます。具体的には、代表取締役以外の業務執行取締役、執行役・支配人その他の使用人である取締役又は代表執行役以外の執行役については4、それ以外の取締役と監査役については2とされます。
また、法制審議会は要綱案を議決した際に、以下の内容の附帯決議を行っています。
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