信用リスクとは、与信取引において、債務者の財務状態が悪化することによって債権の回収ができない状態になる危険性をいいます。
現金取引においては、取引相手の「信用」は問題になりませんが、売掛金、資金運用のための融資や債券投資等、取引相手の「信用」の下で取引を行うことが、経済活動の中では通常行われています。そこで重要になってくるのが、信用供与を管理すること、すなわち「与信管理」です。経営環境が不透明な時代にあって、取引先の信用状態を適切に把握・管理することが、極めて重要になってきています。
与信管理の基本は、個々の取引先の経営状況、財務状況を適切に把握し、
にあります。
また、個々の取引先に対して適切に与信管理を行っている場合においても、与信ポートフォリオ全体からみると必ずしも十分とは言えない場合があります。例えば、特定の企業・業種等に対する与信集中は、多額の貸倒損失が発生し、自己資本を大きく毀損する可能性があります。
金融、商社、流通等、多くの取引先に対し債権を保有する企業では、このような与信集中リスクを回避するため、取引先毎の所在国、業種、信用格付といった切り口で取引先を分類して信用リスク量を見積り、貸出金利や取引採算をトータルで管理する手法が普及してきました。このような与信ポートフォリオ管理の手法は、個別取引先毎の管理のみでは困難であった、企業が有する信用リスクの全体像を見渡して与信管理を行うことを可能にしました。
与信ポートフォリオ全体の信用リスク量については、統計的な手法を用いることで損失額の平均値である期待損失(EL:Expected Loss)や、一定の信頼区間において期待損失額を上回って発生する非期待損失(UL:Unexpected Loss)を計測し管理する運営が行われています。
一般に、ELは与信ポートフォリオから平均的に発生するコストとして貸倒引当金によってカバーされ、ULは潜在的に抱える損失として自己資本でカバーされるべきものと考えられます。個々の債務者に対してELを考慮した貸出金利を適用することにより、与信コスト控除後の貸出利鞘を確保するとともに、与信ポートフォリオ全体の信用リスク量が許容可能な範囲に収まるようにリスクコントロールを行う金融機関等が増えてきています。
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