退職給付費用の計算

退職給付会計の基礎講座 第5回 - 退職給付費用の計算について解説しています。

退職給付費用の計算について解説しています。

1.退職給付会計の手順

ステップ1: 退職給付債務を見積もります(第2回第3回)。
ステップ2: 年金資産の時価を把握します(第4回)。

ステップ3:退職給付費用を算定します。

2.退職給付費用の計算

以下の図表に基づいて、計算を行います。

退職給付費用の計算

3.退職給付費用の構成要素

(1)勤務費用

勤務費用とは一期間の労働の対価として発生したと認められる退職給付をいい、割引計算によって測定されます。

(2)利息費用

利息費用とは割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいいます。

利息費用=期首退職給付債務×割引率

(3)期待運用収益

期待運用収益とは年金資産の運用から生じると合理的に期待される計算上の収益で、退職給付費用の計算において控除される額をいいます。

期待運用収益=期首年金資産額×長期期待運用収益率

(4)過去勤務費用に係る当期の費用処理額

過去勤務費用に係る当期の費用処理額とは、退職給付の給付水準の改定等により発生した退職給付債務の増加または減少部分のうち、当期費用として処理した額をいいます。

過去勤務費用は、平均残存勤務年数以内の一定年数で規則的に費用処理する必要があります。

過去勤務費用に係る当期の費用処理額=過去勤務費用の発生額÷平均残存勤務年数以内の一定年数

過去勤務費用発生のイメージ

過去勤務費用発生のイメージ

(5)数理計算上の差異に係る当期の費用処理額

数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績値との乖離及び見積数値の変更等により発生した差異をいいます。

数理計算上の差異は、過去勤務費用と同様平均残存勤務期間以内の一定の年数で規則的に費用処理する必要があります。

費用処理されていないものを未認識数理計算上の差異といいます。

数理計算上の差異に係る当期の費用処理額=数理計算上の差異の発生額÷平均残存勤務年数以内の一定年数

数理計算上の差異発生のイメージ

数理計算上の差異発生のイメージ

なお、上記(4)と(5)の費用処理方法や費用処理年数を同一にする必要はありませんが、いったん決めた方法は正当な理由がない限り継続する必要があります。

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