年金資産

退職給付会計の基礎講座 第4回 - この回は年金資産についてお話します。

この回は年金資産についてお話します。

1.年金資産とは

年金資産とは、企業年金制度に基づき退職給付に充てるために積み立てられている資産をいい、前回までに説明した退職給付債務より控除されるものです。

2.主な年金資産の例

1)厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度において退職給付に充てるために積み立てられている資産

2)特定の退職給付制度のために、その制度について退職金規程等に基づき、以下のすべての要件を充たした特定の資産

  1. 退職給付以外に使用できないこと
  2. 事業主および事業主の債権者から法的に分離されていること
  3. 積立超過分を除き、事業主への返還、事業主からの解約・目的外の払出し等、事業主の受給者に対する詐害的行為が禁止されていること
  4. 資産を事業主の資産と交換できないこと

3)退職給付(退職一時金及び退職年金)目的の信託(退職給付信託)を設定した場合の一定の要件を充たした資産

(注)退職給付信託が年金資産に該当する場合

以下の要件をすべて満たしている退職給付信託は、退職給付会計上、当該退職給付信託は年金資産に該当することになります。

  1. 当該信託が退職給付に充てられるものであることが退職金規程等により確認できること
  2. 当該信託は信託財産を退職給付に充てることに限定した他益信託であること
  3. 当該信託は事業主から法的に分離されており、信託財産の事業主への返還及び受益者に対する詐害行為が禁止されていること
  4. 信託財産の管理・運用・処分については、受託者が信託契約に基づいて行うこと

なお、退職給付信託は、退職一時金及び退職年金制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、資産の信託への拠出時に、退職給付信託財産及び年金資産の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は本報告における年金資産として認められません。

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