マネー・ローンダリング(”Money Laundering”、資金洗浄)とは一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や犯罪の検挙を逃れようとする行為をいいます。当該行為(資金移動や隠匿)は、テロ組織、暴力団、振り込め詐欺集団、その他反社会的勢力(反社)の犯罪活動を支え、促すものであることから、国内においても行為自体が犯罪として規定されています。
金融機関は、このような行為の手段である、資金決済や管理業務を提供することから、適切なマネー・ローンダリング対策(”Anti Money Laundering”、”AML”)を講じることが、国内当局からはもちろんのこと、国際的にも強く求められています。
国際的な取り組みとしては、政府間会合であるFATF(”Financial Action Task Force”、金融活動作業部会)が設立されており、国が採用すべき政策項目(国が金融機関に対し求めるべき項目を含む)を定めたFATF勧告の公表や、当該勧告に基づく各国間の相互審査等が実施されています。
このような国際的な要請を受け、国内では、犯罪収益移転防止法(犯収法)により、金融機関に対し本人確認や疑わしい取引の届出を求めてきましたが、2008年の相互審査結果等を受け、本人確認等の一層の強化を図るべく、2013年4月には改正犯収法が施行されました。加えて、FATF勧告(及び相互審査に用いるメソドロジー)自体も、2012年から2013年にかけて改訂されており、金融機関にとっては更なるAMLの強化が求められる状況にあります。
反社についても、近時の深刻な社会問題化を受け、暴力団排除条例、振り込め詐欺救済法といった法整備の中、金融機関も対策を強化することが強く求められる傾向にあります。既述のとおり、反社対策とAMLは密接な関係を有することから、両者をあわせ広く「金融犯罪対策」と捉え、対応してくことが重要と考えられます。
金融犯罪対策のフレームワーク
金融犯罪の手口が日々変化し、また巧妙・複雑化する中、対策もPDCA・継続的改善が不可欠であること、個々の担当部署は必ずしも同じではなく、経営陣の理解・協力を含め全社的な対応もまた不可欠であること等から、全体をプログラムと位置づけ対応を図ることが重要と考えられます。
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